何回か通ってみたけれど、期待していたほど変わった感じがしない。続ければ変わるのか、それともこれ以上は変わらないのか。そこで迷っている方は少なくありません。
この疑問は、効果があるかないかという二択では答えが出ません。医療機関以外で扱える成分は決まっていて、作用が届く範囲がそこで決まるからです。範囲の中にある悩みなら変化を感じますし、範囲の外にある悩みなら回数を重ねても届きません。ここでは、何が起きているのかを成分から整理したうえで、実感が人によって分かれる理由を見ていきます。
セルフホワイトニングで起きていること
まず、実際に何をしているのかを確認します。
医療機関以外の施設で使われるのは、リンゴ酸やコハク酸といった有機酸、炭酸カルシウム、重曹、酸化チタンなどの成分です。これらは歯の表面に付いた着色汚れに作用します。汚れを浮かせたり吸着したりして、ブラッシングと合わせて落とすという働き方です。
つまり、表面の汚れを落とすという作用は実際にあります。何も起きていないわけではありません。飲食物やタバコによる着色が歯の表面に付いている場合、それが落ちれば見た目は変わります。
手軽に始められること、通いやすいこと、そして費用の面から選ばれている方法です。歯を削るような処置ではないので、体への負担も小さく済みます。
ただし、作用しているのは歯の表面までです。ここが、次に見ていく範囲の話につながります。
歯科で使う薬剤との違いは「扱える成分」
歯科医院で使う薬剤とは何が違うのか。ここは優劣の話ではなく、扱える成分が違うという区分の話です。
歯科で使われるのは、過酸化水素や過酸化尿素という過酸化物です。この成分は、歯科医師の管理のもとでしか扱えません。取り扱いに専門的な管理が必要とされているためで、医療機関以外の施設では使えない決まりになっています。
では、この成分は何をするのか。過酸化物は歯の表面を通り抜けて内部まで入り、そこにある色素を分解します。表面の汚れを落とすのではなく、歯そのものの色を明るくするという作用です。
一方、医療機関以外で使える成分は、歯の表面に作用します。付着した汚れを落とす方向のはたらきです。
ここで押さえておきたいのは、この違いが「効く/効かない」ではなく、作用する場所の違いだという点です。表面に付いた汚れを落とすことと、歯の内部の色を明るくすることは、目的そのものが違います。片方ができることを、もう片方は目的にしていません。
そして、この区分から到達点も決まります。医療機関以外の方法で行えるのは、付着した汚れを落としてもともとの歯の色に戻すところまでです。もとの色を超えて明るくすることは、作用する場所の関係で範囲の外になります。
「もともとの歯の色」を知らないまま目標を立てていることがある
ここでひとつ、見落とされやすい点を挙げます。多くの方は、自分の歯本来の色を見たことがありません。
普段目にしている歯の色は、もともとの色に着色が重なった状態です。着色は少しずつ積み上がるので、変化に気づきにくく、今の色が自分の色だと感じています。
歯科医院でクリーニングを受けたあとの状態が、着色を落とした状態、つまりもともとの色に近いものになります。ここが表面に作用する方法の到達点です。
目標を立てるときに問題になるのは、この地点がどこにあるかを知らないまま、写真などで見た明るさを目指してしまうことです。もともとの色が濃いめの方であれば、着色をすべて落としてもその明るさには届きません。逆に、もともと明るめの方は、着色を落とすだけで十分に感じることもあります。
自分の到達点がどこにあるかは、着色を落としてみるまで分からないという面があります。この意味では、表面の着色を落とすことには現在地を確認するという役割もあります。
実感が分かれる3つの理由
同じ方法を受けても、変化を感じる方と感じない方がいます。ここには3つの理由が関わっています。
理由1 ― 黄ばみの原因が表面にあるか、内部にあるか
歯の黄ばみには、表面に付いた着色によるものと、歯そのものの色によるものがあります。
飲食物やタバコによる着色が主な原因であれば、それは表面の話なので変化を感じやすくなります。反対に、生まれつきの色や加齢による変化が原因の場合、その色は歯の内部にあるため、表面に作用する方法では届きません。
回数を重ねても変わらないという場合、後者に当てはまっている可能性があります。この切り分けは自分では判断しにくいので、口の中を見てもらうと分かります。原因の分類については歯の黄ばみを取る方法で整理しています。
理由2 ― もともと付いていた着色の量
同じ作用でも、出発点によって見え方が変わります。
着色が多く付いていた方は、それが落ちたときの差が大きく見えます。コーヒーをよく飲む、色の濃い料理をよく食べるといった習慣があった場合、落とせる分が多いためです。
反対に、もともと着色が少なかった方は、同じように作用しても差が分かりにくくなります。落とすものが少なければ、変化の幅も小さいからです。「効果を感じなかった」という感想が人によって分かれるのは、この出発点の違いによる部分があります。
理由3 ― 期待していた白さの水準
前述のとおり、表面に作用する方法で戻せるのは、もともとの歯の色までです。
写真や広告で目にするような明るさを想定していた場合、それは歯本来の色を超えた水準であることがあります。この場合、期待と作用の範囲がずれているため、どれだけ回数を重ねても届きません。
ここは「やり方が悪かった」という話ではありません。目指していた地点が、その方法の範囲の外にあったということです。
自分で見当をつける手がかり
確定させるには診察が要りますが、おおよその見当をつける手がかりならあります。
着色が付きにくい場所と見比べる。 歯の裏側や、歯と歯が重なって隠れている部分は、飲食物に触れにくいため着色が付きにくい場所です。ここと表側の色に差があるなら、その差の分は表面の着色である可能性があります。差がほとんどないなら、色は内部側の要因が大きいと考えられます。
色の付き方が均一かどうかを見る。 全体が同じように黄色い場合は、もともとの色や加齢による変化が関わっていることがあります。部分的に濃い、歯の間だけ色が濃いといった場合は、着色が付いている可能性が高くなります。
1本だけ色が違うかどうかを見る。 特定の1本だけが暗く見える場合、神経を失った歯である可能性があります。これは表面の話ではないため、表面に作用する方法では変わりません。
いずれも目安であって、診断ではありません。ただ、相談に行くときにこの観察を伝えると、話が具体的に進みます。
自分の黄ばみが表面と内部のどちらによるものかは、口の中を見てもらうと判別できます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
目的が合う場合・合わない場合
以上をふまえると、向いている場面とそうでない場面が整理できます。優劣ではなく、目的に対して手段が合っているかどうかの話です。
目的が合うのは、次のような場合です。
- 飲食物やタバコによる着色を落としたい
- 歯本来の色を取り戻したい
- 手軽に始めたい、通いやすさを優先したい
- 歯科で明るくした状態を、日常のケアで保ちたい
目的が合いにくいのは、次のような場合です。
- 歯そのものの色を明るくしたい
- もともとの歯の色を超えて白くしたい
- 生まれつきの色や加齢による変化に対応したい
- 期日が決まっていて、短期間で大きく変えたい
組み合わせるという考え方もできます。歯科で歯そのものの色を明るくしたうえで、日常的に表面の着色を落としていく形です。明るくした状態は時間とともに戻っていきますが、その一因は表面への着色の再蓄積なので、そこに対処するという役割分担になります。
自宅でできる方法の全体像は自宅でできるホワイトニングの種類と選び方でも整理しています。
歯そのものの色を明るくしたい場合
範囲の外にある悩みだと分かった場合、どうするか。歯そのものの色を明るくする方法は、歯科医院で受けられます。
進め方は2つあります。医院で高い濃度の薬剤を使って施術を受ける方法と、自宅で低い濃度の薬剤を使って続ける方法です。どちらも過酸化物を使うため、歯科医師の管理のもとで行われます。
費用の目安を挙げます。医院で行う施術は1回2万〜5万円程度、自宅で行う方法はマウスピースの作製と初回分の薬剤を合わせて2万〜5万円程度とされています。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。本記事で示す金額はいずれも一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
知っておきたい点として、過酸化物を使う方法ではしみる感覚が出ることがあります。歯の内部にはたらきかける作用のためで、表面に作用する方法では起きにくいものです。多くは一過性ですが、しみやすい自覚がある場合は先に伝えておきます。
また、受けられない条件もあります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方は対象外です。未治療のむし歯や重度の歯周病がある場合は、治療を済ませてから検討します。
それぞれの進め方はオフィスホワイトニングとは?とホームホワイトニングとは?で、費用の考え方はホワイトニングの値段はいくら?で扱っています。
自分の黄ばみの原因と、どこまで変えられるかは診察で確認できます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
セルフホワイトニングの効果に関するよくある質問
回数を重ねれば歯そのものの色も明るくなりますか
回数では届きません。作用する場所が歯の表面までなので、内部の色は対象になっていないためです。表面の着色が残っている段階なら回数を重ねる意味はありますが、落としきったあとは、続けても同じところで止まります。
歯科のホワイトニングをしたあとに続けても意味はありますか
役割があります。歯科で明るくした状態は時間とともに戻っていきますが、その一因は表面への着色の再蓄積です。そこに対処するという使い方であれば、目的と手段が合っています。
これまで通った分は無駄になりますか
表面に着色が付いていたのであれば、それは落ちています。無駄ということはありません。ただ、目指していた白さが歯本来の色を超えた水準だった場合、その部分は範囲の外にあったということになります。どこまで届いていたのかは、現在の色を確認すると分かります。
市販の歯磨き粉との違いは何ですか
どちらも歯の表面に作用するという点では同じ方向です。使う成分や作用させる時間に違いがあります。歯そのものの色を明るくする作用のある薬剤は、いずれにも含めることができません。市販品の位置づけについては歯の黄ばみを取る方法で扱っています。
まとめ
セルフホワイトニングの効果は、あるかないかという二択で語れるものではありません。医療機関以外で扱える成分は歯の表面に作用するもので、そこが作用の届く範囲になります。表面に付いた着色を落とすという役割は実際にあります。
一方、歯そのものの色を明るくする過酸化物は、歯科医師の管理のもとでしか扱えません。この違いは効く効かないではなく、作用する場所の違いです。
実感が分かれる理由は3つあります。黄ばみの原因が表面にあるか内部にあるか、もともとの着色がどれくらいあったか、そして期待していた白さがどの水準だったかです。変化を感じなかったとしても、やり方の問題とは限りません。自分の黄ばみがどちらによるものかを確かめると、次に何をすればよいかが決まります。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

