年が明けてから、去年の歯科の支払いをまとめて申告できないかと考える。ホワイトニングにもそれなりの金額を使ったので、そこも入るのかどうかが気になる。
答えは早く出ます。ホワイトニングの費用は控除の対象から外れます。ただ、その1問で終わる人は少ないはずです。同じ年に、クリーニングや治療の支払いも並んでいるからです。そして国税庁が歯の治療費の具体例として挙げているのは、対象かどうかの一覧ではなく、そのあとに来る問いのほうでした。
具体例のページに、ホワイトニングという語は出てこない
まず、確かめられる事実から書きます。
国税庁のタックスアンサーには、歯の治療費だけを扱ったページがあります。「医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」という題で、1128番が振られています。歯科の支払いについて手がかりを求めると行き着く先で、名前のとおり具体例が並んでいます。
そこに書かれているのは、治療に使う材料のこと、歯列矯正のこと、通院にかかった費用のこと、そして分割払いにした場合のこと。ホワイトニングという語は出てきません。医療費控除の一般的な案内である1122番と1120番も合わせて開きましたが、そちらにもありませんでした。
代わりに、判断のもとになる一文は歯列矯正のところに置かれています。
しかし、同じ歯列矯正でも、容ぼうを美化するための費用は、医療費控除の対象になりません。
— 国税庁 タックスアンサー1128「医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」[令和7年4月1日現在法令等]
ここでの引用について、先に断っておきます。これは所得税についての国税庁の案内であり、上の一文は歯列矯正について書かれたものです。ホワイトニングを名指しした記述ではありません。そして個別の判断は税務署や税理士の領分にあたるため、ここで判定はしません。
ホワイトニングが対象にならない理由そのものは、公的な医療保険で扱われない理由と同じところから来ています。この線引きは公的保険の側から見た分かれ目で整理しました。
並んでいるのは、対象かどうかより「いつ・いくら・何で」
では、そのページには何が書かれているのか。項目を並べ直すと、性格が2つに分かれます。
| 書かれていること | 性格 |
|---|---|
| 金やポーセレンを使った治療の対価 | 対象かどうか |
| 歯列矯正(年齢や目的からみて必要と認められる場合) | 対象かどうか |
| 治療中に年が変わるときの扱い | いつ支払った分か |
| 受け取った給付金がある場合の差し引き | いくらとして数えるか |
| 分割払いにした場合の年と、金利の扱い | いつ・いくら |
| 通院費の範囲と、記録のしかた | 何で証明するか |
後半のほうが多く並んでいます。対象かどうかは入口で、そこを通ったあとに3つの問いが残る、という構成です。
考えてみれば、当然の配分でもあります。対象かどうかは処置ごとに一度決まれば済みますが、いつ・いくら・何でという問いは、支払いのたびに発生します。
白くする処置を受けた年は、その前後にクリーニングや治療が並んでいることもよくあります。1問目で止まると、残りの3つを開かないまま終わります。
いつ ― 支払った年で分かれる
ひとつ目です。年をまたぐ場合について、原文はこう書いています。
治療中に年が変わるときは、それぞれの年に支払った医療費の額が、各年分の医療費控除の対象となります。
治療が一続きでも、まとめて1年分として扱う形にはなりません。支払いが起きた年ごとに分かれます。11月に始めて2月に終わった治療なら、2つの年に割れることになります。
この分かれ方は、金額の大小にも効いてきます。医療費控除は、その年に支払った額の合計が一定の水準を超えた部分について適用される仕組みだからです。年をまたいで半分ずつになると、どちらの年も水準に届かないということが起こりえます。逆に、支払いのタイミングが1年に寄れば合計は大きくなります。
とはいえ、支払う時期を控除に合わせて動かせるとはかぎりません。治療には進め方の都合があり、そちらが先に立ちます。押さえておくのは、年をまたぐかどうかで数え方が変わるという一点で足ります。
そしてここに、分割払いの話がつながります。
信販会社が立替払をした金額は、その患者のその立替払をした年(歯科ローン契約が成立した時)の医療費控除の対象になります。
読み違えやすいところです。基準は自分が返済した年ではなく、信販会社が医院に立て替えた年。つまり契約が成立した年にまとまって数える形をとります。3年かけて返す契約でも、数えるのは契約した年の側です。
分割にすると毎年少しずつ数えられそうに思えますが、書かれているのは逆の扱いです。返済の予定表と、控除の年は別々に動きます。
自分の支払いがどの年に落ちるのかは、総額と時期を先に把握しておくと見通しが立ちます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
いくら ― 差し引くものと、入らないもの
ふたつ目です。支払った額がそのまま数えられるとはかぎりません。
保険金や給付金を受け取っている場合について、原文はその給付の目的となった医療費の額を限度として、支払った医療費の額から差し引くと書いています。受け取った分だけ、数える額が減るという関係です。
「限度として」という書き方にも意味があります。差し引くのはその給付が対象にしていた医療費のところまでで、余った分がほかの支払いにまで及ぶわけではない、という読み方になります。
もうひとつ、分割払いには注記が付いています。
(注)歯科ローンに係る金利および手数料相当分は医療費控除の対象になりません。
契約の総支払額をそのまま書き写す形にはならない、ということでもあります。治療の対価にあたる部分と、借りたことで生じる部分が分かれているわけです。
分割で支払う場合に総額がどう見えるかは、総額の出し方のほうで扱いました。
何で証明するか ― 記録がないと消えるものがある
3つ目です。ここがあとから取り返しにくい部分になります。
通院にかかった交通費について、原文の指示は具体的です。
通院費は、診察券などで通院した日を確認できるようにしておくとともに金額も記録しておくようにしてください。
領収書が出ない支出だからです。電車やバスの運賃には、あとから証明できる紙が残らないままになります。その場で控えておくかどうかで、金額が確定するかが決まります。
範囲についても線が引かれます。自家用車で通院したときのガソリン代や駐車場代は対象になりません。タクシー代も、公共交通機関が利用できない場合を除いて含まれないと書き添えられていました。
分割払いのほうにも、証明についての記述がありました。手もとに医院の領収書が残らない場合があるため、契約書や信販会社の領収書を保存するよう案内されます。
つまり、あとから集められるものと、そのとき残しておかないと消えるものが混ざっています。1年分を年明けにまとめようとすると、後者が抜けます。
支払った日の内訳は、その日にしか分からない
もうひとつ、集めるときになって効いてくる点があります。
ホワイトニングの日に、クリーニングや治療が同時に入る日程もあります。会計は一度で済み、明細には内訳が出ます。その場では、どれが何の分か分かる状態です。
ところが年が明けて集計する段になると、手元にあるのは金額と日付の書かれた紙だけ、という状態になりがちです。何をした日だったかは、思い出すしかありません。その日には分かっていたことが、時間が経つと分からなくなります。
対処そのものは簡単です。その日のうちに、内訳が分かる形にしておくだけで足ります。明細を領収書と一緒に保管する、あるいは領収書の余白に何を受けたかを書いておく。それだけで、年明けの作業は読み取りではなく集計で済みます。
同じ日に受けるかどうかは医院の運用で変わる部分なので、予定を組む段階で聞いておくと、この点も整理しやすくなるはずです。
ホワイトニングの分は、この計算に入らない
ここまでの3つは、対象になるものについての話でした。ホワイトニング代のほうは入口で外れるので、そもそもこの計算に乗りません。
年をまたいで支払っていても、控除の側には関わってきません。分割にしても同じ扱いです。集計のときは、最初から別に分けておくほうが手間が減ります。
ただし、支払った記録そのものは残しておく意味があります。同じ日に別の処置を受けていれば、そちらは扱いが変わるためです。外すのは金額であって、記録ではないという区別です。
なお、自宅で行う方法をオンライン診療で始めた場合、通院そのものが少なくなります。交通費の記録という論点は、そもそも発生しにくい形です。通院の回数がどう決まるかは通院の回数の考え方にまとめました。
費用の考え方
ホワイトニング側の費用は、全額が自己負担になります。
| 受け方 | 費用の目安(一般的な水準) |
|---|---|
| 医院での施術 | 2万〜5万円/回 |
| 自宅で行う方法 | 2万〜5万円/一式 |
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。本記事で示す金額はいずれも一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
控除で戻る分を当てにできない以上、自己負担をどう軽くするかは別に考える話です。この考え方は自己負担を減らす見方で、自宅で行う場合の内訳は初期費用と消耗品の2階建てで扱いました。
1年分の見通しを立ててから決めたい場合も、相談から始められます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
ホワイトニングと医療費控除に関するよくある質問
同じ年に受けたクリーニングは対象になりますか
ここで判定はできません。何を目的とした処置だったかによって扱いが変わる部分だからです。処置の目的でどう分かれるかは保険が使えるかどうかの線引きにまとめました。実際にどう扱うかは、明細を持って税務署に確かめる形をとります。
領収書を紛失してしまいました
分割払いを使った場合については、契約書や信販会社の書類が代わりになると案内されていました。それ以外のケースをどう扱うかは、この記事の範囲を超えます。医院で再発行を頼めるかを聞いたうえで、税務署に相談するのが確実です。
会社員でも申告できますか
医療費控除は年末調整では扱われないため、別に手続きが要ります。歯科の支払いをどう並べるかについては、ここまでで見た3つが材料になります。手続きそのものの進め方は、税務署の案内が正確です。
途中でやめた場合、払った分はどうなりますか
年ごとに分かれるという枠組みは、途中でやめても同じです。実際に払った年に、その額が乗る形になります。ただし、返金を受けた場合の数え方は税務上の判断になるため、金額が動いた記録を残したうえで税務署に確かめてください。
家族の分と合わせて数えられますか
合算の可否は税務上の要件によるため、ここでは踏み込みません。ただ、歯科の分については、誰の・いつの・何の支払いかが分かる形で分けておくと、そのあとの作業が軽くなります。
まとめ
ホワイトニングの費用は医療費控除の対象になりません。歯の治療費だけを扱った国税庁のページにも、そもそもホワイトニングという語がありませんでした。
そこに並んでいたのは、対象かどうかの一覧よりも、支払いの扱いについての記述です。年をまたぐときは支払った年ごとに分かれること。分割払いは信販会社が立て替えた年にまとまり、金利と手数料は入らないこと。交通費は診察券で日を確認し、金額も控えておく必要があること。
そして、その日の内訳を残しておくかどうかで、年明けの作業が変わります。金額と日付だけの紙からは、何を受けた日かまでは戻せません。
入口で外れる分を先に脇へ置き、残りを3つの軸で見直す。この順番であれば、集めた材料を持って税務署に相談できます。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

