自宅で行うホワイトニングを始めようとして、薬剤だけ手に入らないかと考える。マウスピースが引き出しにあるなら、自然な発想だと思います。
よく示される答えは、だいたい同じところで止まります。手に入ります、ただし歯科医院で、というものです。
そこから先に進まないのは、その答えが自分に当てはまるかが分からないためです。手元にあるものが、その「マウスピースがある」に入るのかどうか。入るとして、いま使える状態なのかどうか。
実のところ、薬剤だけで足りるかどうかは薬剤の側では決まりません。決まるのはマウスピースの側です。そちらから順に見ます。
薬剤の指定は、片側だけでは成立しない
自宅で使う薬剤には、濃度と装着時間の指定がセットで付いています。この濃度なら1日にこれくらいの時間、という組み合わせです。片方だけを取り出しても、そこから使い方は決まりません。濃度がどう決まるかはホームホワイトニングのジェルとはにまとめています。
では、装着時間のほうは何が成立させているのか。マウスピースです。
薬剤を歯の面にむらなく行き渡らせ、決められた時間そこにとどめておく。これがマウスピースの役割です。入れ物として薬剤を持ち運ぶためのものではなく、作用する時間そのものを作っている装置にあたります。作り方や日々の手入れはホームホワイトニングのマウスピースとは?で扱っています。
そう考えると、薬剤だけを手元に置いた状態は、指定の片側だけがある状態です。もう片側が揃っているかどうかは、まだ分かっていません。
だから最初に確かめるのは、薬剤が手に入るかではなく、手元のものがその片側になれるかのほうになります。
「分けてもらう」という形になる理由
もうひとつ、手続きの形も見ておきます。
歯科医院で扱うホワイトニングの薬剤は、薬局で受け取れるものではありません。法律上どういう区分にあるかはオフィスホワイトニングの薬剤で扱いましたが、扱いの実際としては、口の中を見たうえで、その人に向けて出されるものです。
つまり、在庫があれば誰にでも同じものが渡る、という流れにはなっていません。渡す前に確かめる工程が入ります。
ここが、手前で詰まりやすいところにつながります。薬剤を分けてもらう話と、口の中を見てもらう話は、別々の手順ではありません。同じひとつの流れの中にあります。
そして、手元のマウスピースについても、その流れの中で相談できます。使えるなら作り直しの話は出ませんし、使えないなら、そこで分かります。
では、その流れでは手元のマウスピースの何を見ているのか。見た目が同じでも、確かめる中身は一つではありません。まず、それが何のために作られたものかから見ます。
では、手元にあるものは何のために作られたか
透明なマウスピースは、見た目が似ています。歯にはめる、透明、薄い。ここが共通しているので、同じものの色違いのように見えます。
ただ、目的が違えば作りが違います。ホワイトニング用に作るマウスピースは、薬剤を歯の面に保持するためのものです。それ以外の目的で作られたものを、順に見ます。
歯を動かすためのものがあります。マウスピース矯正で使うアライナーがこれにあたります。段階的に交換しながら歯を動かしていく装置で、装着すると歯に力がかかります。いまの歯並びに合っていることを目指して作られたものではありません。合っているかどうかで測る装置ではない、ということです。
動かさずに保つためのものがあります。矯正のあとに使うリテーナーです。歯を大きく動かすための装置ではなく、いまの位置から動かないように支えます。種類や使う期間はリテーナー(保定装置)とは?にまとめました。
こちらは作った時点の歯並びに合わせてあります。裏を返すと、その時点の形で止まっているということでもあります。歯のほうが動けば、そのぶんずれます。
噛む力を受け止めるためのものもあります。就寝中の歯ぎしりに対して使うものです。歯そのものを動かすためのものではありません。
動かすため、保つため、受け止めるため。どれも歯にはまりますが、薬剤を歯の面に保持するために作られたものではありません。縁がどこまで来ているか、歯の面との間にどれだけの余地があるか。そういった部分が同じとは限りません。
見た目が近いのは、素材が透明で薄いという共通点があるためです。ただ、そこが同じであることと、同じ使い方に耐えることは別になります。
言えるのは、目的が違うということまでです。手元のものが結果として使えるかどうかは、これだけでは決まりません。使えないと決めつける材料にもなりません。相談のときに見てもらう項目のひとつ、という位置づけです。
入ることと、指定どおり使えることは別
それでも自分で確かめようとするとき、手がかりになるのは装着感です。入る、外れない、当たって気になるところがない。この3つが揃っていれば、合っていると考えるのが自然だと思います。
ただ、装着感で分かるのはそこまでです。薬剤を入れて指定の時間を過ごすための条件は、別の面で決まります。歯の面に薬剤が行き渡るか、縁からどう漏れるか、覆えていない部分が出ないか。どれも、はめた感触には出てきません。
装着感は、装置が自分に対してどうかを教えてくれます。一方でここで問われているのは、装置と歯の面のあいだがどうなっているかです。同じマウスピースの話でも、見ている場所が違います。
もうひとつあります。作ったときに合っていたことと、いま合っていることは別です。
歯は動きます。矯正のあとに保定が必要なのはそのためで、期間の考え方はリテーナーはいつまで必要?にまとめました。何年か前に作ったものが引き出しにあるという状態では、そのあいだの変化がどれくらいかは分かりません。
しかも、少し動いていても入ることは入ります。多少きつく感じても、入ってしまえばそのまま使えそうに思えます。だから装着感からは気づけません。
適合が仕上がりにどう関わるかはホームホワイトニングとは?で扱っています。
相談の前に、手元のものについて分かること
ここまでで分かることと、まだ触れていない一点を、あわせて当てていきます。
何のために作られたものかは、自分の側で分かります。受け取ったときに説明を受けているはずのもので、覚えていなければ、渡された書類か、作った医院への確認が入ります。
どこを覆っているかも、見れば分かります。上だけなのか、上下そろっているのか。奥のほうまで来ているのか、前歯のあたりで終わっているのか。
ここが効いてくるのは、白くしたい範囲との関係です。どこまでを対象にしたいかは人によって違います。覆えていない歯には薬剤が届かないので、そこだけ色が変わらないまま残ります。
上だけのものが手元にあって、下も明るくしたい場合、足りないのは薬剤ではなく装置のほうです。逆に、見えるのが上だけであれば、手元にあるもので範囲としては足りています。
自分がどこまでを対象にしたいのかは、先に決めておける部分です。ここは相談の前に整理しておくと、話が具体的なところから始まります。
合っているかどうかだけは、自分の側で決まりません。装着感は手がかりになりますが、そこから先は口の中を見ないと判断できない部分です。
つまり、3つのうち2つは自分で確かめられて、残りの1つが確かめられないという形です。そしてその1つが、薬剤の指定が成立するかどうかを決めています。
そう考えると、問い合わせの中身も変わります。薬剤を分けてもらえるかを聞く前に、手元のものを見てもらうという順番になります。そこは、実物を見ないことには進みません。
相談するときは、マウスピース本体のほかに、いつ作ったものかと何のために作ったものかが分かると話が早くなります。書類が残っていればそれで足りますし、残っていなくても、作った医院と時期の見当がつけば手がかりになります。
逆に、自分の側で答えを出しておく必要はありません。使えるかどうかは、見てもらって判断される部分です。
手元のマウスピースが使える状態かどうかは、見てもらうと分かります。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
ホームホワイトニングの薬剤のみに関するよくある質問
矯正で使っていたマウスピースをそのまま使えますか
使えるとも使えないとも、ここでは決まりません。作られた目的が違うので、そのまま同じ条件で使えるとは限らない、というところまでです。
手元にあるなら、そのまま確かめてもらう対象に入ります。処分してしまう前に聞いてみるほうが、選べる形は増えます。
前に別の歯科医院で作ったものでも見てもらえますか
作った場所そのものが妨げになるわけではありません。ただし、扱いは受ける側の判断になるので、先に問い合わせておくと流れが読めます。
作った時期もあわせて伝えられると、そこからどれくらい経っているかが、確かめる材料になります。
しばらく使っていなかったものでも大丈夫ですか
保管していた期間そのものより、そのあいだに歯がどう変わったかのほうが関わります。長く使っていなかったということは、その期間ずっと保定もしていなかった場合があります。
見た目に変形やひび割れがあるかどうかも、あわせて見てもらう部分です。
薬剤だけを先に用意しておくことはできますか
順番としては逆になります。どれくらいの時間どう使うかの指定は、装置の側が先に定まってから出てくるためです。先に用意しておいても、指定が付いていない状態では使いようがありません。
費用の面でどこにいくらかかるかはホームホワイトニングの値段は2階建てにまとめました。
手元にあるものについて相談すれば、そこから進められます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
まとめ
自宅で使う薬剤に付いてくる指定は、濃度と装着時間のセットです。その装着時間を成立させているのがマウスピースなので、薬剤だけを手元に置いても、指定の片側しかない状態です。
透明なマウスピースは見た目が似ています。ただし、歯を動かすためのもの、保つためのもの、噛む力を受け止めるためのものは、それぞれ別の目的に合わせて作られています。ホワイトニング用のものとは、そこが違います。
そして、入ることと指定どおり使えることは別です。装着感で分かるのは入るかどうかまでで、作ったときから歯が動いていても、入ることは入ります。
何のために作られたかと、どこを覆っているかは自分で確かめられます。合っているかどうかだけが残ります。先に見てもらうのは、薬剤ではなく手元のもののほうです。この順番だと、確かめる材料がそろった状態で決められます。
東京表参道矯正歯科のホワイトニング
通院の負担を抑えたい方に向けて、オンライン診療と自宅でのケアで進めるホワイトニングをご用意しています。3Dスキャンで採得した歯型からオーダーメイドのマウスピースを作成し、歯科医師の診断のもとでホワイトニング剤と知覚過敏抑制剤をお届けします。
- 診察はオンラインで完結。マウスピースをお持ちの方は来院いただく必要がありません
- 歯型に合わせたオーダーメイドのマウスピースで、薬剤を歯の隅々まで行き渡らせます
- しみる症状に備えた知覚過敏抑制剤を同梱。経過はLINEでご相談いただけます
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

