どこまで白くなるのかを確かめようとして、かえって分からなくなる。そんな状態になっている方は少なくありません。「1〜2段階」と書かれていることもあれば、「3〜4段階」と書かれていることもあり、どれを前提にすればよいのか決められないからです。
この食い違いは、どちらかが誇張しているという話ではありません。歯の色を測るときに使う色見本には複数の体系があり、段階の数え方そのものが違うために起きています。ここでは、その仕組みと、到達点を決めているものは何か、そして自分の見込みをどう立てればよいかを順に見ていきます。
効果の見え方は「変化した量」と「もとの色」で決まる
まず前提をそろえます。自宅で行うホワイトニングで起きているのは、歯の内部にある色素が薬剤によって分解され、歯そのものが明るくなるという変化です。表面の汚れを落とす作業とは別のものです。
ここで押さえておきたいのが、同じだけ明るくなっても、感じ方は人によって違うという点です。もとの色が濃かった方ほど、明るくなったときの差が目に見えて分かります。反対に、もともと比較的明るい方の場合、同じ量だけ変化しても差として認識しにくくなります。
つまり「◯段階明るくなる」という数字だけを見ても、自分がどう感じるかは予想できません。出発点が違えば、同じ変化量でも見え方が変わるためです。
進み方にも特徴があります。自宅で行う方法は低い濃度の薬剤を長時間かけて作用させるため、1日ごとの変化はごくわずかです。毎日続けて2週間ほど経ったあたりで「言われてみれば明るくなった」と感じる方が多いとされています。そこから目標に近づくまではさらに数週間から数ヶ月かかり、目標の高さによって長さが変わります。
つまり効果は、ある日を境に現れるものではなく、少しずつ積み上がっていくものです。この進み方を知らずに1週間で判断すると、変化が出ていないと誤解しやすくなります。開始から維持までの流れはホームホワイトニングとは?で段階ごとに整理しています。
段階の数字がばらつく理由
ここが本題です。段階の数字が食い違う理由は、色見本の体系が1つではないことにあります。
歯の色は、シェードガイドと呼ばれる色見本を歯に当てて確認します。代表的なものとして知られているのが、VITAクラシカルシェードガイドです。A・B・C・Dの4つの系統に分かれていて、全部で16色あります。同じ系統のなかでは数字が小さいほど明るく、明度の順に並べ替えると B1 が明るい側の端に来るとされています。日本人の天然歯は A3 から A3.5 のあたりが多いとされ、その位置から始まる方が多いという整理です。
ところが、色見本はこの1種類に限りません。段階の刻み方が異なるものもあり、そちらでは全体の段数がもっと細かく設定されています。
ここまで来ると、数字が食い違う理由が見えてきます。同じ「3段階明るくなった」という表現でも、16色の体系と、より細かく刻んだ体系とでは、示している変化の幅が違います。 どちらが正しいという話ではありません。前提となる体系が書かれていない以上、数字だけを横に並べても意味をなさない、ということです。
そのため、段階の数字を集めて平均を取るような読み方はうまくいきません。意味があるのは、自分が実際に使う色見本の上で、今どこにいて、どこを目指すのかを確認することです。診察のときにシェードガイドで現在地を記録しておくと、進み具合を同じ物差しで判断できるようになります。
到達点を決めているもの
では、どこまで明るくできるのかは何で決まるのでしょうか。ここには個人の条件が関わっています。
歯の色を作っているのは、2つの層です。表面にあるエナメル質と、その内側にある象牙質。この2つが重なった状態として目に映っています。エナメル質は半透明なので、内側の象牙質の色が透けて見えるためです。
薬剤が作用するのは主にエナメル質の側です。そのため、エナメル質が薄く、内側の象牙質の色が濃く透けている場合、明るくできる範囲はそこで決まってきます。エナメル質の厚みには個人差があり、加齢によっても変わります。
象牙質の色も年齢とともに濃くなる傾向があるとされています。同じ方法を同じ期間続けても、20代の方と50代の方とで到達点が変わるのは、この条件の違いによるものです。
このように、到達点を決めているのは薬剤の側ではなく、その方の歯の構造です。だからこそ一般的な数字を自分に当てはめても見込みにはならず、口の中を診てもらって初めて予想が立ちます。
反応しにくい条件
到達点の話に加えて、そもそも薬剤が効きにくい条件があります。当てはまるかどうかは診察で確認できるので、始める前に見ておきたい項目です。
人工物には作用しません。 詰め物・被せ物・差し歯・インプラントは天然の歯とは素材が違うため、薬剤で明るくなることはありません。前歯に人工物が入っている場合、周囲の天然歯が明るくなるほど色の差が目立つので、扱いを先に決めておきます。
神経を失った歯は、変色の仕方が違います。 この場合は歯の内側から色が変わっているため、外側から薬剤を作用させる方法では届きにくくなります。別の方法が検討されることがあります。
テトラサイクリンという抗菌薬の影響による変色も、通常の方法では期待どおりに明るくならないことがあります。歯の形成期にこの薬を服用したことによるもので、縞模様のような見え方をする場合があります。
加齢による黄ばみは、象牙質の色が濃くなったことによるものです。エナメル質側に作用する方法では、変化が限られることがあります。
歯の根元の部分は、もともとエナメル質が薄く象牙質の色が透けやすい場所です。全体が明るくなっても、この部分だけ色が残るように見えることがあります。
自分の歯がどの条件に当てはまるか、どこまで見込めるかは診察で確認できます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
どれくらい続くのか、なぜ戻るのか
明るくなった状態は、そのまま固定されるわけではありません。持続の目安は半年から1年程度とされています。
戻る理由は2つあります。ひとつは着色の再蓄積です。飲食物に含まれる色素が歯の表面に付着し、時間をかけて積み重なっていきます。コーヒー・紅茶・赤ワイン・カレーなどが挙げられる飲食物です。もうひとつは加齢による変化で、象牙質の色が徐々に濃くなっていきます。
どちらも生活を続けていれば起きることなので、色が戻ること自体は避けられません。戻る前提で、維持まで含めて計画しておくほうが現実的です。
戻り方を緩やかにするためにできること
維持のためにできることは、大きく3つに分かれます。
1つ目は、着色を蓄積させないことです。 色の濃い飲食物をとったあとに口をすすぐ、あるいは時間を置かずに歯を磨く。これだけでも表面に色素が留まる時間を減らせます。完全に避ける必要はなく、そのあとの対応を習慣にするほうが続きます。
2つ目は、定期的にクリーニングを受けることです。 表面に付いた着色や歯石は、毎日の歯磨きだけで落とすには限界があります。歯科医院で定期的に落としておくと、明るさが保たれやすくなります。
3つ目は、間隔をあけて短期間だけ再開することです。 自宅で行う方法は、マウスピースを持っていれば薬剤を追加するだけで再開できます。目標に届いた状態から大きく戻る前に短期間行うほうが、また一からやり直すより負担が軽く済みます。
どのくらいの間隔で再開するかは、もとの色や生活習慣によって変わります。飲食物による着色を受けやすい方ほど間隔は短くなるので、診察のときに自分の場合を相談してください。
なお、明るくなったあとすぐに濃い色の飲食物をとると着色を受けやすい状態にあります。薬剤を使った直後の歯は表面が一時的に色素を取り込みやすくなるためで、この点は毎日の進め方とあわせてホームホワイトニングのやり方で扱っています。
費用に対して見合うかをどう考えるか
費用の面から見た判断について整理します。
自宅で行う方法の費用は、マウスピースの作製と初回分の薬剤を合わせて2万〜5万円程度が一般的な目安とされています。続ける期間が延びれば、その分だけ薬剤の費用が加わる構造です。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。本記事で示す金額はいずれも一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
判断の仕方としては、「何段階明るくなるか」を基準にすると答えが出ません。ここまで見てきたとおり、段階の数字には共通の物差しがないからです。代わりに、自分の目標との距離が縮まるかどうかで考えます。
そのためには、まず現在地と目標を確認する必要があります。今の色がどこにあり、どこを目指すのか、そしてその距離が自分の歯の条件で埋まりそうかどうか。ここまで具体化できれば、費用に見合うかどうかを自分で判断できます。総額の考え方はホワイトニングの値段はいくら?で扱っています。
自分の歯だとどこまで近づけそうかは、診察で確認できます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
ホームホワイトニングの効果に関するよくある質問
効果を感じ始めるのはいつごろですか
毎日続けた場合、2週間程度で変化を感じる方が多いとされています。ただし、もとの色や目標によって前後します。開始から維持までの流れはホームホワイトニングとは?で段階ごとに整理しています。
医院で受ける方法とは効果に差がありますか
到達できる範囲そのものより、変化の出方が違います。医院で行う方法は高い濃度の薬剤を短時間作用させるため、1回あたりの変化が大きくなります。自宅で行う方法は低い濃度を長時間かけて作用させるので、ゆるやかに進みます。詳しくはオフィスホワイトニングとは?をご覧ください。
続けるほど白くなり続けますか
そうはなりません。歯の構造によって到達できる範囲が決まっているため、ある時点から変化が緩やかになります。そこから先も続けるかどうかは、目標に届いているかどうかで判断します。
効果が出ているかどうかを自分で確かめる方法はありますか
鏡を毎日見ていると、少しずつの変化は認識しにくくなります。開始前に同じ条件で写真を撮っておき、あとから見比べる方法が使われます。診察でシェードガイドを使って記録してもらうと、同じ物差しで比べられます。
まとめ
ホームホワイトニングで何段階明るくなるかについて、示される数字がばらつくのは、使っている色見本の体系が違うためです。段階の刻み方が異なる以上、数字だけを比べても意味をなしません。
到達点を決めているのは、エナメル質の厚みと、その内側で透けて見える象牙質の色という個人の条件です。人工物や神経を失った歯、テトラサイクリンによる変色など、反応しにくい条件もあります。
明るくなった状態は半年から1年程度とされ、着色の再蓄積と加齢によって徐々に戻ります。維持まで含めて計画しておくほうが現実的です。判断は段階の数字ではなく、自分の目標との距離が縮まるかどうかで考えてみてください。現在地と到達の見込みは、口の中を診てもらうとはっきりします。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

