検診で小さい虫歯を指摘されたまま、そのままになっている。歯の色は気になるけれど、相談に行けば治療の話になって、時間も費用もかかりそうで動けない。そんな状態の方は少なくありません。
基本の考え方としては、治療が先です。ただ、本当に押さえておきたいのはその次です。最終的な詰め物を入れるタイミングを間違えると、あとから作り直しになるからです。ここでは、虫歯の状態による扱いの違いと、治療からホワイトニングまでの順番の設計を見ていきます。
虫歯があると、まず何が起きるのか
治療を先に済ませるのには理由があります。3つ挙げます。
1つ目は、薬剤がしみたり痛んだりすることです。 虫歯で歯に穴が開いていると、そこから薬剤が内部に入り込みます。歯の神経に近い部分に届くため、強い痛みにつながることがあります。健康な歯であれば一時的にしみる程度で済むところが、穴があると程度が変わります。
2つ目は、その間に虫歯が進むことです。 ホワイトニングは1回で終わるものではなく、目標に届くまでには数週間から数ヶ月かかります。この期間、虫歯は手つかずのままになります。小さかったものが治療の範囲を広げることにもつながります。
3つ目は、詰め物や仮歯が外れやすくなることです。 これは意外と知られていない点ですが、薬剤の影響で既存の詰め物や仮の詰め物が外れやすくなるとされています。外れた部分から細菌が入り込むことも考えられるため、不安定な状態のまま進めるのは避けたいところです。
いずれも「受けられなくなる」という話ではありません。順番を整えれば進められます。
状態によって扱いが変わる
「虫歯がある」と一口に言っても、状態はさまざまです。扱いも変わります。
| 虫歯の状態 | 扱い |
|---|---|
| ごく初期の段階 | 経過を見ながら進められる場合がある |
| 小さい虫歯 | 場所と深さによる。ケースごとの判断 |
| 大きい虫歯 | 治療を先に済ませる |
| 神経に近い虫歯 | 治療を先に済ませる |
ごく初期の段階、いわゆる白く濁って見えるだけで穴が開いていない状態であれば、経過を見ながらホワイトニングを進められる場合があります。この段階では薬剤が内部に入り込む経路がないためです。
小さい虫歯については、場所と深さで判断が変わります。奥歯の噛む面にある小さなものと、前歯の歯と歯のあいだにあるものとでは、扱いが違ってきます。
大きいもの、神経に近いものは、治療が先です。ここは選択の余地が少ない部分です。
そして、自分の虫歯がどの状態かは自己判断できません。「小さいと言われたから大丈夫」と考えても、半年前の話であれば状況が変わっている可能性があります。まず現在の状態を見てもらうところから始まります。受診の段取りについては歯医者のホワイトニングは何回通う?で扱っています。
順番は3ステップ
ここからが本題です。治療とホワイトニングの順番は、2段階ではなく3段階で考えます。
ステップ1 ― 虫歯の治療
まず虫歯を治療します。薬剤を安全に使える状態にするための工程です。
このとき、前歯など見える部分の治療では、最終的な詰め物をこの段階では入れないという進め方があります。仮の状態にしておいて、後の工程に回すという考え方です。
気になるのは、その仮の状態でどれくらい過ごすことになるのかという点だと思います。仮の詰め物は見た目や強度が最終的なものと異なるため、長く続くほど生活のうえでの負担になります。この期間をどう設定するかは、目標の白さと治療する歯の位置によって変わるので、計画の段階で確認しておく項目です。奥歯であれば最終的なものを先に入れてしまい、前歯だけ後回しにするといった組み方もあります。
ステップ2 ― ホワイトニング
治療が済んだら、ホワイトニングに進みます。ここで天然の歯の色が決まります。
薬剤で色が変わるのは天然の歯だけです。詰め物・被せ物・差し歯といった人工物には作用しません。つまり、この工程で決まるのは天然歯側の色であり、人工物の色は動きません。
ひとつ注意したいのが、施術の直後の色で判断しないことです。薬剤を使った直後の歯は一時的に白く濁って見えることがあり、そのまま色を合わせると、落ち着いたあとにずれが出ます。色が安定するまで少し期間を置いてから次の工程に進むという設計になります。どれくらい置くかは進め方によって変わるため、確認しておく項目です。
ステップ3 ― 最終的な詰め物・被せ物の色合わせ
天然の歯の色が決まってから、それに合わせて詰め物や被せ物を作ります。
この順番であれば、周囲の歯と人工物の色がそろいます。ホワイトニング後の色を基準にして作るので、当然といえば当然です。
なぜこの順番なのか。人工物は薬剤で白くならないためです。動かせない側の色は、動かせる側が決まってから合わせるしかありません。
順番を間違えるとどうなるか
では、逆の順番だとどうなるか。
治療の段階で最終的な詰め物を入れ、そのあとホワイトニングを行ったとします。天然の歯は明るくなりますが、詰め物の色は入れたときのままです。結果として、周囲が明るくなるほど詰め物だけが暗く浮いて見えることになります。
この差を解消するには、詰め物を作り直すことになります。つまり、詰め物の費用がもう一度かかるわけです。素材によっては小さくない金額になりますし、歯を削り直す工程も加わります。
ここが、順番を守る実利です。治療を挟むことは遠回りに見えますが、実際にはやり直しを避けるための順番にあたります。先に治しておけば、詰め物は1回で済みます。
ただし、この重要度は場所によって変わります。前歯や、笑ったときに見える範囲であれば、色の差は目に入ります。一方、奥歯の見えない部分であれば、色の差が問題になりにくいため、順番の優先度は下がります。自分の場合にどこまで気にするかは、鏡で見える範囲を確認しておくと相談しやすくなります。
自分の虫歯の状態と、順番をどう組むかは診察で確認できます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
すでに詰め物が入っている場合
過去に治療して、すでに詰め物や被せ物が入っている場合はどうなるか。
まず前提として、これらは薬剤では明るくなりません。ホワイトニングを行うと天然の歯だけが明るくなるため、前歯に人工物がある場合は色の差が出ます。
選択肢は3つあります。
そのままにする。 差が気にならない程度であれば、手をつけないという判断もあります。奥歯や、光の当たり方で目立たない位置であれば、この選択で済むことがあります。
ホワイトニング後に作り直す。 差が気になる場合は、天然の歯の色が決まってから人工物を作り直します。前述のステップ3にあたる進め方です。
範囲を調整する。 人工物の周囲だけ明るさを抑えるという考え方もあります。ただし均一な仕上がりにはなりにくいため、選ばれることは多くありません。
どこまでを対象にするかは、始める前に決めておく項目です。人工物と天然歯の色の関係については歯の黄ばみを取る方法でも触れています。
ホワイトニング中に虫歯が見つかったら
進めている途中で虫歯が見つかることもあります。その場合の扱いです。
原則として、いったん中断して治療を優先します。薬剤が虫歯の部分から内部に入り込むことを避けるためです。
中断しても、それまでの分がなくなるわけではありません。色は時間とともに戻っていきますが、始める前より濃くなることはないので、治療が終わってから再開すれば続きから進められます。
自宅で行っている場合は、痛みやしみる感覚が出たときに自己判断で続けないでください。しみる感覚には一時的なものと、そうでないものがあります。切り分けの手がかりはホワイトニングの知覚過敏は歯が傷んだのではないで扱っています。自宅で行う方法の進め方全体はホームホワイトニングとは?にまとめています。
費用と、治療費の扱い
費用の面を整理します。
ホワイトニングの相場は、医院で行う施術が1回2万〜5万円程度です。自宅で行う方法は、マウスピースの作製と初回分の薬剤を合わせて2万〜5万円程度とされています。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。本記事で示す金額はいずれも一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
一方、虫歯の治療は公的医療保険の対象になります。ホワイトニングの費用とは別の枠で考える部分です。金額は治療の内容によって変わるため、治療計画とあわせて確認してください。
ここで押さえておきたいのは、順番を守れば作り直しの費用が発生しないという点です。治療費が余分にかかるように見えても、詰め物を2回作ることになれば、そちらのほうが負担は大きくなります。総額の考え方はホワイトニングの値段はいくら?で扱っています。
自分の場合にどういう順番と費用になるかは、口の中を見てもらうと具体的になります。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
ホワイトニングと虫歯に関するよくある質問
小さい虫歯なら黙って受けても分かりませんか
診察の段階で確認されるため、伝えなくても見つかります。そして、伝えずに進めた場合に困るのは受ける側です。薬剤がしみて途中で続けられなくなる、詰め物が外れる、といったことが起こりえます。状態を共有したほうが、進め方を調整してもらえます。
治療後どれくらいでホワイトニングを始められますか
治療の内容と、入れた詰め物の種類によって変わります。仮の状態で進めるのか、最終的なものを入れてからにするのかでも扱いが違います。一律の日数があるわけではないので、治療計画を立てる段階で確認しておくと予定が組めます。
ホワイトニングに虫歯を防ぐ効果はありますか
ホワイトニングは歯の色を明るくするための処置であり、虫歯を防ぐことを目的としたものではありません。予防のためにできることは別にあります。歯磨きとフロスで汚れを落とすこと、定期的に検診を受けること、フッ素を含む歯磨き粉を使うことなどです。
神経を抜いた歯は白くなりますか
通常のホワイトニングでは、期待どおりに明るくならないことがあります。神経を失った歯は内側から変色するため、外側から薬剤を作用させる方法では届きにくいためです。この場合は歯の内部から薬剤を作用させる別の方法が検討されることがあります。どう対応するかは、歯の状態を見てから決まります。
まとめ
虫歯があるとホワイトニングを受けられないわけではありませんが、状態によって扱いが変わります。ごく初期であれば経過を見ながら進められる場合があり、大きいものや神経に近いものは治療が先です。自己判断はできないため、現在の状態を確認するところからになります。
順番は3段階です。虫歯の治療、ホワイトニング、そして最終的な詰め物の色合わせ。この順番になるのは、人工物が薬剤で白くならないため、天然の歯の色が決まってから合わせる必要があるからです。
逆の順番にすると、周囲が明るくなったときに詰め物だけが浮いて見え、作り直しになります。詰め物の費用が二重にかかるため、治療を先に挟むほうが結果的に負担は小さくなります。前歯に人工物がある方はとくに、始める前に順番を相談してみてください。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

