医院で受ける方法と自宅で行う方法、その両方を組み合わせる進め方があると知って、迷っている方は少なくありません。費用が上がることは分かる。ただ、その分で何が変わるのかがはっきりしないので、割高なだけなのか意味のある差なのかを決められない。
先に結論から言うと、併用は「2つやるから2倍白くなる」という発想の方法ではありません。組み合わせる理由は、2つの役割が違うからです。ここでは、その役割の違いと進め方、そして自分に続けられるかどうかの見極め方を順に見ていきます。
デュアルホワイトニングとは
デュアルホワイトニングは、歯科医院で受ける施術と、自宅で行うケアを併用する進め方です。それぞれを別々に受けるのではなく、ひとつの計画のなかで組み合わせます。
進め方としては、医院で施術を受けたうえで、自宅でも薬剤を使ったケアを続けます。医院に通う日と、自宅で装着する日が並行して進んでいく形です。
費用の面では、医院で受ける施術の分と、自宅で使うマウスピース・薬剤の分の両方がかかります。単独で受ける場合より金額が上がるのは、この構造によるものです。
それぞれの方法そのものについては、オフィスホワイトニングとは?とホームホワイトニングとは?で個別に整理しています。
なぜ組み合わせるのか ― 役割が違う
ここが本題です。2つを組み合わせる理由は、使う薬剤と作用のさせ方が違い、担っている役割が異なるためです。
医院で使う薬剤は、高い濃度の過酸化水素を短い時間だけ作用させます。 1回の施術で変化が出やすい反面、短時間で進むぶん、時間の経過とともに色が戻りやすい傾向があるとされています。
自宅で使う薬剤は、10%程度の過酸化尿素が代表的です。 分解して生じる過酸化水素は元の濃度の約1/3にあたり、低い濃度を長い時間かけて作用させる設計になっています。変化はゆるやかですが、その分だけ持続しやすいとされています。
つまり、医院での施術が「変化を早く出す」役割を、自宅でのケアが「時間をかけて定着させる」役割を担っています。同じ作用を2回重ねているのではなく、速さと持続という別々の性質を組み合わせているわけです。
この整理が分かると、いくつかの誤解が解けます。まず、2つやるから2倍白くなるという話ではありません。上乗せされているのは白さの量ではなく、変化の出方と持続の仕方です。
仕上がりのムラが出にくいとされるのも、同じ理由からです。作用の速さが違う2つで進めるため、片方で差が出た部分をもう片方が補う形になります。
ただし、どの程度の変化が出るか、どれくらい持続するかには個人差があります。歯の色のもとになっている原因や歯質によって反応の仕方が変わるため、併用すれば一定の結果になると決まっているわけではありません。
進め方と時間の見込み
実際にどう進むのかを、時間の流れに沿って整理します。
始めるまでの準備
まず口の中の検査があります。むし歯や歯周病がないかを確認し、必要であれば治療を先に済ませます。あわせてクリーニングで歯石や表面の着色を落とし、薬剤が均一に作用する状態にします。
自宅用のマウスピースは歯型を採ってから作るため、受け取れるまでに数日から1週間程度かかります。この期間があるので、併用を選ぶと初回の来院だけでは始まりません。
順番と間隔
一般的には、医院での施術を先に行います。施術のあとは薬剤が浸透しやすい状態になっているため、そのタイミングで自宅でのケアを重ねる進め方が取られます。
その後は、自宅でのケアを続けながら、間隔をあけて医院での施術を受けていきます。通院の間隔は1〜3ヶ月に1回程度が目安とされていますが、目標や歯の状態によって変わるので、計画は診察のときに決めます。
実感までの見込み
変化を実感するまでは1〜3ヶ月程度、その後の持続は半年から1年程度とされています。ただし、これは目安であり、目標の白さや歯の状態によって前後します。
期限がある場合は、この期間から逆算して始める時期を決めます。準備にかかる期間も含めると、余裕を持って動き出したほうが計画に無理が出ません。
費用の目安
費用は、医院で受ける施術の分と、自宅で使う道具・薬剤の分の合計になります。
一般的な目安としては、併用する形で5万〜10万円程度とされています。内訳としては、医院での施術が1回2万〜5万円程度、自宅で行う方法がマウスピースの作製と初回分の薬剤を合わせて2万〜5万円程度です。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。本記事で示す金額はいずれも一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
注意しておきたいのは、この金額が終わりまでの総額とは限らない点です。医院での施術は回数を重ねればその分が加わりますし、自宅でのケアは続ける月数だけ薬剤の費用が積み上がります。総額の見方はホワイトニングの値段はいくら?で整理しています。
続けられるかどうかで決まる
併用の注意点として真っ先に挙がるのは費用の高さです。ただ、採否を分けるのは金額よりも、自宅でのケアを続けられるかどうかになります。
理由は単純で、併用は自宅側が動いて初めて成立するからです。装着が途切れれば、定着させる役割を担う部分が抜け落ちます。その状態では、医院での施術だけを受けた場合に近い結果になり、上乗せした費用の意味が薄くなります。
自分に続けられそうかを見るには、次のような点が手がかりになります。生活のリズムがある程度一定か。毎日2時間程度の装着時間を確保できそうか。出張や外泊が多く、道具を持ち歩く形になりそうか。夜の時間帯が読めるかどうかも判断材料です。
とはいえ、続けられないと分かった時点で失敗というわけではありません。装着時間を短くする、施術の間隔をあけるといった調整ができるので、うまくいかないときは独断で中断せずに相談してください。歯の状態に合わせて計画を組み直せます。
そして、続けられそうにないと感じるなら、医院での施術だけに絞るという判断も無理のない選択です。自分の生活に収まる形を選ぶほうが、結果としては目標に近づきます。
自分の場合にどの形が現実的かは、口の中の状態と生活の条件を合わせて相談すると具体的になります。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
注意しておくこと
併用を選ぶ場合に押さえておきたい点を挙げます。
しみる感覚が出やすい傾向があります。 2種類の薬剤を使うため、刺激が重なりやすいことによるものです。多くは一時的なもので、1週間程度で落ち着くとされています。出た場合の対処は、自宅側の装着時間を減らす、医院での施術の間隔をあけるといった調整が先です。知覚過敏を抑える薬剤を併用する方法もあるので、我慢せずに伝えてください。
人工物は薬剤では明るくなりません。 詰め物・被せ物・差し歯・インプラントは、天然の歯と違って薬剤が作用しないためです。前歯に人工物が入っている場合は、周囲が明るくなるほど色の差が目立つので、扱いを先に決めておきます。
反応しにくい歯質もあります。 テトラサイクリンという抗菌薬の影響による変色、加齢で象牙質の色が濃くなった黄ばみ、神経を失った歯の変色などです。いずれも期待どおりに明るくならないことがあります。併用しても結果が変わらない可能性があるため、始める前に確認しておきます。
受けられない場合もあります。 無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方は対象外です。未治療のむし歯や重度の歯周病がある場合は、治療を済ませてから検討します。
施術後は飲食に気をつける時間帯があります。 色の濃い飲食物を控える時間があり、いつから通常の食事に戻れるかは施術のあとに確認します。
併用が向く場合・単独で十分な場合
どちらが優れているという話ではなく、条件によって向き不向きが変わります。
併用が候補になるのは、期限があって目標も高い場合です。変化を早く出す役割と定着させる役割の両方が要るなら、組み合わせる意味があります。色が戻るのを抑えたい場合や、自宅でのケアを続けられる見込みがある場合も同様です。
単独で無理がないのは、期限に幅がある場合です。急いでいないなら、自宅で行う方法だけでも目標に近づけます。通院の予定を組みにくい方も、自宅中心のほうが計画が破綻しません。逆に、自宅でのケアを続けにくい方は、医院での施術に絞るほうが確実に進みます。
方法の選び方そのものについては、ホワイトニングのおすすめはどれ?で5つの質問に沿って整理しています。
自分の条件だと併用が要るのか、単独で足りるのかは、目標と歯の状態を合わせて判断します。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
デュアルホワイトニングに関するよくある質問
単独より確実に白くなりますか
そうとは言い切れません。併用で上乗せされるのは、変化の出方と持続の仕方であって、白さの上限が2倍になるわけではないためです。もとの歯の色や歯質によって反応の仕方が変わるので、どこまで近づけるかは診察で確認してください。
途中で片方だけに切り替えられますか
切り替えられる場合があります。自宅でのケアが続けにくいと分かった段階で医院での施術中心に変える、逆に通院が難しくなって自宅中心に移す、といった調整です。薬剤の使用状況によって間隔をあける必要があるので、変更するときは相談してください。
自宅でのケアを忘れた日があると影響しますか
1日抜けたことで台無しになるものではありません。ただ、自宅側は続けることで作用する設計なので、抜ける日が重なると想定した進み方から離れていきます。続けにくい状況が出てきたら、その時点で装着時間や計画の調整を相談するほうが現実的です。
矯正の治療中でも受けられますか
装置の種類と治療の段階によって、受けられる範囲が変わります。取り外しできる装置か、歯の表面に装置が付いているかで扱いが違うためです。考え方は矯正中にホワイトニングはできる?で解説しています。担当の歯科医師に確認してください。
まとめ
デュアルホワイトニングは、医院での施術と自宅でのケアを組み合わせる進め方です。2つやるから2倍白くなるのではなく、変化を早く出す役割と時間をかけて定着させる役割を分担させている、というのが仕組みになります。
進め方としては、検査とクリーニングを済ませ、マウスピースを受け取るところから始まります。医院での施術を先に行い、自宅でのケアを重ねながら1〜3ヶ月に1回程度の間隔で通う形です。実感までは1〜3ヶ月程度が目安とされています。
判断の分かれ目は、費用よりも自宅でのケアを続けられるかどうかにあります。続けられそうにない場合は単独に絞るほうが無理がありませんし、始めたあとで続かなくなっても調整できます。自分の生活に収まる形を、目標と合わせて相談してみてください。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

