医院で受け取ったジェルを使っているけれど、他にも濃度の種類があるらしい。もっと濃いものを使えば早く終わるのではないか。そう考えている方は少なくありません。
ただ、ジェルの濃度は単独で決まっているものではありません。装着する時間とセットで設計されているため、濃度だけを取り出して比べても意味をなさないのです。ここでは、ジェルの中身と作用の仕組み、濃度がどう決まるのか、そして受け取ったあとの保管と期限の扱いまでを見ていきます。
ジェルの中身と、白くなる仕組み
自宅で使うジェルの主成分として代表的なのは、過酸化尿素という薬剤です。
このジェルを歯に当てると、口の中で分解が起きて過酸化水素に変わります。生じる過酸化水素の量は、もとの過酸化尿素の濃度のおよそ3分の1です。この過酸化水素が歯の内部に入り、色素を分解します。
ここで押さえておきたいのは、表面の汚れを落としているのではないという点です。歯の内側にある色素にはたらきかけて、歯そのものの色を明るくしています。表面に付いた着色を落とすクリーニングとは、目的も仕組みも違います。この違いについては歯の黄ばみを取る方法で整理しています。
自宅で行う方法の全体像はホームホワイトニングとは?で扱っています。
主成分以外に含まれるもの
ジェルには、過酸化尿素のほかにいくつかの成分が加えられている場合があります。
ひとつは、知覚過敏を抑える成分です。薬剤の作用にともなってしみる感覚が出ることがあるため、それを和らげる目的で配合されています。冷たいものが響きやすい自覚がある方にとっては、この有無が続けやすさに関わります。
もうひとつはフッ素です。歯の表面の再石灰化を助ける成分で、薬剤を使ったあとの歯の状態に配慮したものです。歯がもろくなるのかを調べた研究では、薬剤を使ったあとの表面がどこまで戻るのかを見ています。
何が含まれているかは、処方されるものによって違います。しみやすさが気になる場合は、その点を伝えたうえで相談すると、含まれる成分も含めて検討してもらえます。
見た目や粘度にも違いがある
ジェルは製剤によって性状が違います。透明に近いものもあれば、乳白色のものもあります。粘度も、固めのものから緩めでよく伸びるものまで幅があります。
この違いは扱いやすさに関わります。色が付いているものは、マウスピースのどこまで入れたかが見やすくなります。緩めのものは少量でも歯の面に広がりやすい一方、入れすぎると縁からあふれやすくなります。
ここも自分で選ぶ部分ではありませんが、性状が変わると使用感も変わります。前と違うものを受け取ったときに戸惑わないよう、頭に入れておくと扱いやすくなります。
濃度は自分で選ぶものではない
ジェルには濃度の種類があるため、選択肢の中から選ぶもののように見えます。ただ、実際には歯科医師が歯の状態・目標の白さ・しみやすさをふまえて決めるものです。
国内で承認されている自宅用の薬剤では、過酸化尿素10%程度が代表的です。ここから始めて、経過を見ながら調整していく形が一般的とされています。
濃度と装着時間はセットで設計されている
濃度が単独で意味を持たないのは、装着時間と組み合わせて設計されているためです。
10%程度の場合、装着時間は1日2時間程度が目安になります。濃度が高い薬剤では、30分から1時間程度と短く設定されます。濃度が高いほど短時間、低いほど長時間という組み合わせです。
つまり、濃度と時間はどちらか一方だけを見ても判断できません。処方された濃度に対して指定された時間があり、その組み合わせで1回分の作用量が決まっています。
濃度が高いほど早く終わるわけではない
ここが誤解されやすい点です。濃度を上げれば早く目標に届くように思えますが、そうはなりません。
濃度が上がれば、そのぶん装着時間は短くなります。1回で作用する総量は、濃度と時間の組み合わせで決まるからです。濃度だけを上げて時間はそのまま、という使い方をすると設計から外れます。
そして、高い濃度では歯や歯ぐきへの刺激が強くなります。しみる感覚が出やすくなる一方で、進み方が変わるわけではありません。増えるのは負担のほうです。
しみやすい場合は低い濃度から始めることもある
冷たいものが響きやすい自覚がある場合、低い濃度から始めて様子を見るという進め方が取られることがあります。装着時間は長くなりますが、刺激は穏やかになります。
逆に、生活の都合で長時間の装着が難しい場合には、別の組み合わせが検討されることもあります。どちらにしても、歯の状態と生活の条件の両方を見て決める話です。
歯科医師の管理を離れて入手することの問題
濃度の高いジェルを自分で入手して使う、という選択を考える方もいます。ここには複数の問題があります。
まず、高い濃度の製剤には国内で承認されていないものが含まれます。品質や安全性について国内の基準で確認されていないため、何が起きるかを予測しにくくなります。
次に、濃度に見合った装着時間が分かりません。前述のとおり濃度と時間はセットなので、時間の指定がないまま濃度だけ高いものを使うと、刺激が強く出ます。
そして、しみる感覚が出たときや思うように進まないときに、相談する相手がいません。調整という選択肢を持てないまま、続けるかやめるかの二択になります。
使う量は濃度と別の話
濃度と混同されやすいのが、1回に使う量です。この2つは別のものになります。
量を増やしても、作用が強まるわけではありません。マウスピースの中で歯の面に接している薬剤が作用するので、それ以上入れても余るだけです。
むしろ、多く入れると装着したときに縁からあふれて歯ぐきに触れます。薬剤が歯ぐきに長く触れると、一時的に白っぽくなったり刺激を感じたりすることがあります。逆に少なすぎると、届かない部分が出て色の入り方に差が生まれます。
適量の目安や入れる位置については、ホームホワイトニングのやり方で工程ごとに整理しています。
保管の条件
受け取ったあとの扱いも、結果に関わります。ここは説明を受けても忘れやすい部分です。
基本は冷暗所での保管です。 直射日光が当たる場所は避けます。光と熱によって成分が変質するためです。
夏場は冷蔵庫に入れます。 室温が高くなる時期は、常温での保管では条件を満たせません。
ここで気をつけたいのが、一度液状になったジェルは元に戻らないという点です。冷蔵保管を忘れて常温に置き続けると、ジェルが液状化することがあります。あわてて冷蔵庫に戻しても、性状は戻らず、そのまま使えなくなるとされています。
一方で、冷えたままだと固くて扱いにくくなります。使う1時間ほど前に冷蔵庫から出しておくと、常温に戻って扱いやすくなります。
保管場所として意外と向かないのが洗面所です。湿気があり、入浴時には温度も上がるためです。生活動線としては置きたくなる場所ですが、条件としては安定しません。
出張や旅行に持ち出す場合は、高温になる場所を避けます。夏場の車内、直射日光の当たる窓際、屋外に置いたバッグなどが該当します。移動が多い場合は、持ち出す期間そのものを短くするほうが確実です。
手元のジェルが使える状態かどうか判断がつかないときは、確認してもらえます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
使用期限と、使わないほうがよいジェル
ジェルには使用期限があります。一般的には1〜2年で、製品によっては3年のものもあるとされています。
期限を過ぎたものは、成分が変質している可能性が高くなります。この状態では、期待する作用が得られません。
そして、ここが大切な点ですが、作用しないだけでは済まない場合があります。変質した薬剤は歯や歯ぐきに影響を及ぼす恐れがあるとされており、使わないほうがよいとされています。効かないだけなら試してみようという判断になりがちですが、そういう性質のものではありません。
開封したあとは、できるだけ早めに使い切ります。空気に触れることで変質が進むためです。
次のような状態が見られたら、使わずに相談してください。
- 液状になっている、または分離している
- 色が変わっている
- においが変わっている
- 期限が切れている、または期限が読み取れない
もったいないという理由で古いものを使うのは避けてください。数百円分を惜しんで歯ぐきに影響が出ると、そのほうが手間も費用もかかります。
費用とジェルの補充
費用の面を整理します。
自宅で行う方法の初回費用は、マウスピースの作製と初回分の薬剤を合わせて2万〜5万円程度が一般的な目安とされています。続ける期間が延びれば、その分だけ薬剤の費用が加わる構造です。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。本記事で示す金額はいずれも一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
ジェルがなくなった場合は、医院で相談します。マウスピースを持っていれば作り直す必要はないので、薬剤の分だけで再開できる形です。このとき、経過を見たうえで濃度や進め方が調整されることもあります。薬剤の分だけで足りるかどうかを決めているのは、手元のマウスピースがまだ使える状態かという点です。その見極めは薬剤だけで再開できる条件で整理しました。
総額の考え方はホワイトニングの値段はいくら?で扱っています。
自分の歯の状態に合う濃度や進め方は、診察で確認できます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
ホームホワイトニングのジェルに関するよくある質問
濃度の高いジェルに変えてもらえますか
経過を見たうえで調整されることはあります。ただし、濃度を上げれば装着時間は短くなるため、早く終わるとは限りません。しみる感覚が出ていないか、装着時間を確保できているかなど、他の要素も含めて判断される話です。希望がある場合は伝えたうえで相談してください。
冷蔵庫に入れ忘れた場合はどうなりますか
短時間であれば問題ないことが多いのですが、液状になってしまった場合は元に戻りません。冷やし直しても性状は戻らないとされています。見た目や状態に変化があるときは、使う前に確認してもらってください。
ジェルが余ったら次回まで取っておけますか
使用期限内で、保管条件が守られていれば使える場合があります。ただし開封後は変質が進むため、長く置くほど状態は読みにくくなります。次に使うまでに間があく場合は、そのまま使わず、状態を確認してもらうほうが確実です。
市販のホワイトニング用品と同じものですか
別のものです。歯そのものの色を明るくする作用のある薬剤は、歯科医師の管理のもとでしか扱えません。市販されている歯磨き粉などに期待できるのは、表面の着色を落とすことと付きにくくすることで、歯の内部の色には届きません。
まとめ
ホームホワイトニングのジェルは、過酸化尿素を主成分とするものが代表的で、分解して生じる過酸化水素が歯の内部の色素にはたらきかけます。表面の汚れを落とすものではありません。
濃度は自分で選ぶものではなく、歯の状態と目標をふまえて処方されるものです。装着時間とセットで設計されているため、濃度を上げれば早く終わるという関係にはなりません。歯科医師の管理を離れて高濃度のものを入手すると、時間の指定も相談先も持てないまま使うことになります。
受け取ったあとは、冷暗所での保管と使用期限の管理が結果に関わります。一度液状になったジェルは戻らず、期限を過ぎたものは作用しないうえに歯ぐきへの影響も考えられます。状態に迷ったら、使う前に確認してみてください。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



