歯の白さのレベル表には、A1、A3、B1といった記号が並んでいます。ところが、その表と自分の歯を見比べても、どの記号に当たるのかは出てきません。
原因は表の側ではなく、読み方の前提にあります。レベルを下から上へ続く1本の階段だと思って読むと、途中で行き詰まります。記号がそういう並び方をしていないためです。
ここでは、記号の並びが何を示しているのかと、自分の位置をどう測るのかを順に見ていきます。なお「何段階明るくなるか」という変化量については、ホームホワイトニングの効果はどこまで?にまとめています。
「レベル」が指しているもの
歯の色を記号で表すときに使うのが、シェードガイドと呼ばれる色見本です。実際の歯に当てて、どの記号に近いかを確認します。「レベル」「トーン」「シェード」と呼び方は場面によって変わりますが、指しているのはこの色見本の上での位置です。
代表的な体系として知られているのが、VITA Zahnfabrik社の VITA classical A1-D4 です。公式サイトでは「16 natural tooth shades」と案内されています。1956年から市場にあり、歯の色を判定するときの国際的な参照体系として位置づけられています。
ここで先に押さえておきたいことがあります。この体系が分類しているのは、天然歯の色です。「natural tooth shades」という言い方がそのまま示しています。この点は、どこまで白くできるのかを考えるときに効いてきます。
系列(A・B・C・D)は明るさではなく色みで分かれている
記号がA・B・C・Dに分かれている理由から見ていきます。公式サイトには、各系列が次のように説明されています。
| 系列 | 公式の記載(各系列の範囲) | 意味 |
|---|---|---|
| A | reddish-brownish | 赤茶系 |
| B | reddish-yellowish | 赤黄系 |
| C | greyish shades | グレー系 |
| D | reddish-grey | 赤灰系 |
気づくことがあります。説明がすべて色みの言葉になっていて、明るさの順序はこの説明の中に出てきません。
つまり、A・B・C・Dは階段の段数ではなく、色みの系統です。同じくらいの明るさでも、赤茶に寄っているのか、グレーに寄っているのかで置かれる場所が変わります。
このことが分かると、よく見かける表現の意味も変わってきます。「A3からB1へ」という移動は、明るくなったという話だけではありません。赤茶系から赤黄系へと、色みの系統もまたいでいます。
移動しているものが2つある以上、「目盛りをいくつ進んだか」という形では数えられません。資料によって段階の数え方が食い違うのには、こうした事情もあります。数字がばらつく理由そのものはホームホワイトニングの効果はどこまで?で扱っています。
番号が比べられるのは同じ系列の中だけ
次に、記号の後ろにつく数字です。
同じ系列の中では、数字が小さいほど明るい側とされています。A1とA4なら、A1のほうが明るい側です。ここは分かりやすい部分です。
ただし、この関係が成り立つのは系列の内側だけです。
たとえば「A2とB2ではどちらが明るいか」という問いは、番号だけでは答えが出ません。2という数字が同じでも、系列が違えば別の物差しの上にあるからです。前の節で見たとおり、系列を分けているのは色みであって明るさではありません。
なお、明るさの順に並べた色見本は、別に用意されています。公式サイトには、漂白の経過を追うための色見本が挙げられています。こちらは明るさを29段階に分けたもの(29 levels of lightness)だと説明されています。明るさで並べられないのではありません。それがこの色見本の用途ではない、ということです。
そのため、系列をまたいだ比較は、実際の歯に色見本を当てて見比べてもらうことになります。記号を並べて計算する形にはなりません。
通し番号ですらない ― D系列はD2から始まる
もうひとつ、階段だという前提が成り立たないことを示す事実があります。
公式サイトのD系列の表記は「D2 – D4」です。D1が出てきません。
系列ごとに番号の始まりがそろっていない、ということです。全体を通し番号で数えられるものではない、という具体的な証拠になります。
この1点だけでも、「1レベル上がる」という言い方を、体系全体で共通の単位として扱えないことが分かります。
天然歯の範囲と、その外側は別の体系
「どこまで白くできるのか」という疑問には、体系の側からも答えられます。
先に触れたとおり、VITA classical が分類しているのは天然歯の色です。裏を返すと、天然歯より明るい側は、この体系の範囲に入っていません。
ホワイトニングで天然歯の範囲より明るい側に届いた場合は、記号のほうが足されます。先に触れた経過観察用の色見本とはまた別の話です。公式サイトには次のようにあります。
The VITA Bleached Shades consist of the bleached shades 0M1, 0M2 and 0M3 (VITA SYSTEM 3D-MASTER).
ブリーチシェードとして、0M1・0M2・0M3 の3つが挙げられています。末尾の括弧が示すとおり、これは classical ではなく別の体系(3D-MASTER)の記号です。
公式には次のようにもあります。
With the additional VITA Bleached Shades, bleached tooth shades are now also available with this original shade guide.
もとの色見本に後から足されたものだ、ということです。
ここから見えることがあります。レベルは上に行くほど目盛りが続いているのではなく、途中から別の体系に切り替わります。天然歯の色を分類する範囲と、漂白した歯を表す範囲は、そもそも役割が違うためです。
ただし、自分がどこまで届くかは、体系の側では決まりません。歯そのものの条件によるもので、その決まり方はホームホワイトニングの効果はどこまで?にまとめました。
なお、詰め物や被せ物といった人工物は薬剤では色が変わらないため、色の決め方が別になります。人工物との関係はホワイトニングのデメリットで整理しています。
自分の位置は、ひとつの数字には決まらない
記号の読み方が分かっても、もうひとつ残ります。自分がいまどこにいるかです。ここには変数が2つあります。
どの歯を見た値なのか
シェードガイドで確認するのは、歯1本ごとの色です。口の中の歯は、すべてが同じ色をしているわけではありません。前歯どうしでも差が出ることがありますし、前歯と犬歯でも見え方が変わります。そのため「A3でした」という言い方は、実際にはどの歯を見た値なのかで変わります。
さらに、1本の歯の中でも場所によって色が違います。同じ1本でも、どこを見た値なのかで当てはまる記号が動くということです。1本の歯の中で色が違う理由はホームホワイトニングの効果はどこまで?にあります。
つまりレベルは、口全体をひとつの数字で表したものではありません。どこを基準の歯として見るかを決めておくと、次に確認したときに同じ場所で比べられます。
どの条件で測った値なのか
もうひとつの変数が、測るときの条件です。照明の色や明るさ、背景に何があるか、そして歯が乾いているかどうか。同じ歯でも、条件が変われば当てはまる記号が動きます。
とくに影響が大きいのが、歯の乾燥です。歯が乾いた状態になるのは施術の直後で、自宅で行う場合はマウスピースを外した直後にあたります。このとき歯の表面は水分が失われていて、実際より明るく見える状態にあります。なぜ乾くと明るく見えるのかはオフィスホワイトニングとは?にあります。
つまり、外した直後に測った数字と、落ち着いてから測った数字は、同じものとして並べられません。どちらかが間違っているのではなく、条件が違うだけです。
だからこそ、同じ条件で測り直すことが比較の前提になります。開始前に記録を取っておき、同じ場所・同じ明るさ・同じ角度で確認していくと、変化を同じ物差しで見られます。記録の取り方はホームホワイトニングで白くならないときが具体的です。
自分がいまどのあたりにいるかは、口の中を見てもらうと記号で確認できます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
目標を数値で立てるとどうなるか
基準の歯と測る条件をそろえておくと、現在地を記号で置けます。そうすると、目標も同じ形で置けるようになります。ここが実務上の利点です。
目標が「自然な白さ」「はっきり白く」という言葉のままだと、届いたかどうかを判定できません。言葉の受け取り方は人によって違うためです。記号にしておけば、届いたかどうかが言葉の解釈ではなく位置の比較になります。
そして、この数値はそのあとにも使えます。目標との距離が決まると、必要な回数や期間の見込みを立てやすくなります。どの程度かかるかは歯の条件によって変わります。医院やプランを検討する段階でも、この数字が前提になります。何を確認すればよいかはホワイトニングを受ける医院とプランの選び方で扱いました。
ただし、目標をどこに置くかという判断そのものは、数値だけでは決まりません。周囲の歯との調和や、人工物が入っているかどうかも関わります。この考え方はホワイトニングの後悔にまとめています。
記号で言えるようになっていれば、その場で目標まで決められます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
ホワイトニングのレベルに関するよくある質問
日本人の平均的なレベルはどのあたりですか
A系列の中ほどのあたりが多いと言われることがあります。ただし、これは目安として語られる範囲で、実際の位置は人によって違います。前歯と奥歯でも変わりますし、同じ口の中でも1本ずつ差があります。平均の記号を自分に当てはめるより、自分の歯で確認してもらうほうが確かです。
何レベル上がりますか
この問いには、共通の単位がありません。系列を分けているのは色みで、番号の始まりも系列ごとにそろっていないためです。上がった量を記号の差で表せない以上、目標に届いたかどうかは、同じ色見本の上で確かめる形になります。
自分でシェードガイドを買って測れますか
色見本そのものは手に入りますが、測るときの条件がそろわないと数字が動きます。照明・背景・歯の乾燥で見え方が変わるためです。自分で確認する場合は、同じ場所・同じ明るさで、同じ時間帯に見るという形にしておくと、変化を追いやすくなります。
「W1」のような記号を見かけます
公式サイトで確認できるブリーチシェードの記号は、0M1・0M2・0M3 の3つです。それ以外の表記も使われることがありますが、どの体系に基づくものかは場合によって異なります。記号だけを持ち出しても、同じ物差しの上にあるとは限りません。実際に使う色見本がどれなのかは、診てもらう場で確認できます。
まとめ
レベル表を見ても自分の位置が決まらないのは、レベルが1本の階段ではないためです。
系列(A・B・C・D)を分けているのは明るさではなく色みで、公式の説明もすべて色相の言葉になっています。番号が比べられるのは同じ系列の中だけで、系列をまたぐと直接は比較できません。D系列はD2から始まるため、通し番号ですらありません。
そして、天然歯の色を分類する範囲と、その外側のブリーチシェードは別の体系です。上に行くほど目盛りが続いているわけではなく、途中で切り替わります。
自分の位置は、照明や歯の乾燥といった条件込みの数字になります。同じ条件で測り直すことが比較の前提です。現在地と目標を同じ色見本の上に置いておくと、そのあとの判断が具体的になります。
東京表参道矯正歯科のホワイトニング
通院の負担を抑えたい方に向けて、オンライン診療と自宅でのケアで進めるホワイトニングをご用意しています。3Dスキャンで採得した歯型からオーダーメイドのマウスピースを作成し、歯科医師の診断のもとでホワイトニング剤と知覚過敏抑制剤をお届けします。
- 診察はオンラインで完結。マウスピースをお持ちの方は来院いただく必要がありません
- 歯型に合わせたオーダーメイドのマウスピースで、薬剤を歯の隅々まで行き渡らせます
- しみる症状に備えた知覚過敏抑制剤を同梱。経過はLINEでご相談いただけます
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

