悪い面を先に確認してから決めたい。そう考えて項目を見ていっても、判断が進まないことがあります。しみる、色が戻る、費用がかかる、時間がかかる。並んでいるものの、どれが自分にとって重いのかが分からないままだからです。
これは、性質の違うものが同じ粒度で並べられているために起きています。数時間でおさまる一過性のものと、この先ずっと付き合うものが、同じ一覧に混ざっているためです。ここでは、デメリットを4つの領域に分けたうえで、選ぶ方法によってどの領域が重くなるのかを見ていきます。
デメリットは4つの領域に分かれる
先に全体像を示します。ホワイトニングのデメリットとして挙げられるものは、次の4つに整理できます。
| 領域 | 主な内容 | 性質 |
|---|---|---|
| ①体に起きること | しみる感覚、歯ぐきへの刺激 | 多くは一過性 |
| ②続けることの負担 | 通院の予定、毎日の装着、飲食の制約 | 期間中は続く |
| ③お金の負担 | 自由診療で全額自己負担、維持の費用 | 期間中は続く |
| ④できることの限界 | 色が戻る、人工物は白くならない、到達点がある | 付き合い続ける |
この4つは性質が違います。①はほとんどが一時的なもので、②と③は続けているあいだの負担、④は方法を変えても消えない前提条件です。同じ重さで受け止める必要はありません。
①体に起きること ― 多くは一過性
まず、体に起きることから見ていきます。
しみる感覚が出ることがあります。 薬剤に含まれる過酸化水素は、歯の表面のエナメル質を通り抜けて内側の象牙質まで作用します。象牙質には神経へつながる細い管があるため、刺激が伝わりやすくなり、冷たいものや風がしみるように感じられます。
ここで押さえておきたいのは、この症状の多くは一過性であるという点です。数時間から、長くても2日程度でおさまるのが一般的とされています。歯そのものが傷んで起きているのではなく、薬剤の作用にともなう一時的な反応だからです。
歯ぐきへの刺激もあります。 薬剤が歯ぐきに触れると、その部分が一時的に白っぽくなったり、ぴりぴりとした感覚が出たりすることがあります。これも時間の経過とともに戻るとされています。自宅で行う場合は、ジェルを入れすぎて縁からあふれることが原因になりやすいので、量を調整すると起きにくくなります。
一方で、症状が強く出る条件もあります。指示された使用量や装着時間を守らずに続けた場合です。長く付ければ早く白くなると考えて時間を延ばすと、刺激が続くぶん症状が強まります。守らないまま続けた場合、知覚過敏から歯の神経の炎症へ移行する可能性があるとされています。
未治療のむし歯や歯周病があると、薬剤が内部に入り込んで強い痛みが出ることがあります。始める前に確認しておく必要があるのは、このためです。
しみる感覚が出た場合も、調整で続けられることが多くあります。装着時間を短くする、行う間隔をあける、知覚過敏を抑える薬剤を併用するといった方法です。自己判断で中断せず、状況を伝えてください。
②続けることの負担 ― 方法によって形が変わる
次に、期間中ずっと続く負担です。ここは選ぶ方法によって形が変わります。
まず前提として、1回では終わりません。もとの歯の色と目標によりますが、目標に届くまでには複数回、複数週にわたる進め方になります。
医院で施術を受ける場合は、通院の予定を確保する負担が乗ります。 初回は検査・クリーニング・施術を含めて90分程度、その後も間隔をあけて複数回通うことになります。数週間から1ヶ月半程度にわたるため、予定の変わりやすい方にとっては、この部分が実質的な制約になります。
自宅で行う場合は、毎日続ける負担が乗ります。 1日2時間程度の装着を、2週間以上にわたって続けます。通院そのものは少なく済みますが、続けられなければ進みません。始めたときの意欲が続くかどうかが、そのまま結果に反映されます。
併用する形では、両方の負担が乗ります。 通院しながら自宅でのケアも続けるため、期間中の拘束は大きくなります。
つまり、通院の負担と継続の負担はトレードオフの関係にあります。どちらかを軽くすれば、もう一方が重くなる構造です。通院しやすいのか、毎日の習慣を作りやすいのか、自分の生活で楽なほうを選ぶという考え方になります。
もうひとつ、生活への制約として施術後に色の濃い飲食物を控える時間帯があります。薬剤を使った直後の歯は着色を受けやすい状態のためで、外食の予定と重なると気を使うことになります。
各方法の詳しい進め方は、オフィスホワイトニングとは?・ホームホワイトニングとは?・デュアルホワイトニングとは?でそれぞれ扱っています。
③お金の負担 ― 自由診療であることの意味
費用の面を整理します。
ホワイトニングは病気の治療ではなく見た目を整えるための処置なので、健康保険が適用されません。全額が自己負担になり、料金は医院ごとに設定されています。
一般的な目安としては、医院で行う施術が1回2万〜5万円程度です。自宅で行う方法はマウスピースの作製と初回分の薬剤を合わせて2万〜5万円程度、併用する形では5万〜10万円程度とされています。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。本記事で示す金額はいずれも一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
注意しておきたいのが、提示された金額が目標までの総額とは限らないという点です。医院で行う施術は回数を重ねればその分が加算されますし、自宅で行う方法は続ける月数だけ薬剤の費用が積み上がります。
さらに、維持のための費用も見込んでおく必要があります。色は時間とともに戻るため、明るさを保ちたい場合は間隔をあけて再開することになります。一度払えば終わりという性質のものではない、という点は先に理解しておくほうが計画を立てやすくなります。
総額のそろえ方はホワイトニングの値段はいくら?で扱っています。
自分の目標だと総額がどれくらいになりそうかは、診察で確認できます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
④できることの限界 ― 付き合い続けるもの
4つ目は、方法を変えても消えない前提条件です。ここに挙げるものは対処するというより、織り込んで計画するものになります。
色は戻ります。 飲食物に含まれる色素が再び蓄積することと、加齢によって象牙質の色が濃くなることが理由です。どちらも生活を続けていれば起きるので、避けることはできません。持続の目安は方法によって変わりますが、いずれ戻る前提で維持まで含めて考えます。
人工物は明るくなりません。 詰め物・被せ物・差し歯・インプラントは天然の歯とは素材が違い、薬剤が作用しないためです。前歯に人工物がある場合、周囲の天然歯が明るくなるほど色の差が目立ちます。色を合わせるには作り替えが必要になるので、どこまでを対象にするかを先に決めておきます。
反応しにくい歯質があります。 テトラサイクリンという抗菌薬の影響による変色、神経を失った歯の変色、加齢で象牙質の色が濃くなった黄ばみなどです。いずれも期待どおりに明るくならないことがあります。
到達できる白さには個人差があります。 歯の色は、エナメル質と象牙質の重なりとして見えています。エナメル質が薄く象牙質の色が濃く透けている場合、明るくできる範囲はそこで決まります。どこまで近づけるかは、口の中を診てもらわないと分かりません。到達点の決まり方はホームホワイトニングの効果はどこまで?で扱っています。
方法ごとにどの負担が重くなるか
ここまでの4領域を、方法ごとに見比べます。
| 方法 | ①体への刺激 | ②続ける負担 | ③費用 | ④限界 |
|---|---|---|---|---|
| 医院で行う | 出やすい | 通院の予定確保 | 1回あたりが高い | 共通 |
| 自宅で行う | 穏やか | 毎日の装着 | 続けた月数分 | 共通 |
| 併用する | 重なりやすい | 両方が乗る | 合算で高い | 共通 |
| 医療機関以外 | ほぼない | 回数を重ねる | 1回あたりは低い | 範囲が狭い |
医院で行う方法は高い濃度の薬剤を短時間作用させるため、しみる感覚が出やすくなります。そのぶん1回あたりの変化は大きいのですが、通院の予定を確保する必要があり、1回ごとの費用も高めです。
自宅で行う方法は低い濃度を長時間かけて作用させるので、刺激は比較的穏やかです。ただし毎日続ける必要があり、変化を感じるまでに時間がかかります。
併用する形では、2種類の薬剤を使うぶん刺激が重なりやすく、費用も合算になります。そのかわり、変化の速さと持続の両方をねらえる進め方です。
医療機関以外で受けられるものは、漂白作用のある薬剤を扱えないため、体への刺激はほとんどありません。そのかわり落とせるのは表面の着色汚れまでで、④の限界が最初から大きくなります。歯そのものの色を明るくしたい場合には目的が合いません。
このように、どの方法にも負担はあり、置き場所が違うだけです。優劣ではなく、自分が受け入れやすいのはどの負担かという観点で選びます。条件の整理の仕方はホワイトニングのおすすめはどれ?で扱っています。
始める前にできること
デメリットのうち①と、④の一部は、始める前の準備で軽くできます。
まず、むし歯や歯周病があれば治療を先に済ませます。未治療のまま始めると薬剤が内部に入り込み、痛みが強く出ることがあるためです。
次に、クリーニングで表面の着色と歯石を落としておきます。汚れが残ったままだと薬剤が均一に届かず、色の入り方に差が出ます。
しみやすい自覚がある場合は、最初に伝えておきます。薬剤の種類や作用時間の調整、知覚過敏を抑える薬剤の併用といった対応につながります。
そして、目標の白さを共有し、到達の見込みを確認しておきます。人工物が入っている場合の扱いもここで決めます。この確認をしておくと、④の「思っていたほど白くならなかった」という受け止め方を避けられます。
自分の場合にどの負担が重くなるかは、口の中の状態と生活の条件を合わせて相談すると具体的になります。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
ホワイトニングのデメリットに関するよくある質問
しみるのはどれくらい続きますか
多くは一過性で、数時間から長くても2日程度でおさまるのが一般的とされています。ただし感じ方には個人差があり、続く場合もあります。長引くときや強く感じるときは、我慢せずに伝えてください。装着時間や間隔の調整で対応できることがあります。
デメリットが少ないのはどの方法ですか
条件によって変わるため、どれが少ないとは言えません。しみやすい方にとっては自宅で行う方法のほうが負担が軽く、通院の予定を組みにくい方にとっては同じ方法でも継続が負担になります。自分の条件と照らして選ぶ考え方はホワイトニングのおすすめはどれ?で整理しています。
一度やめたら元より色が濃くなりますか
そうはなりません。時間の経過とともに元の色に近づいていくという変化で、始める前より濃くなるわけではありません。ただし飲食物による着色や加齢による変化は続くので、生活習慣によっては以前と同じような色に見えることがあります。
矯正の治療中に受ける場合のデメリットはありますか
装置の種類によっては、装置が付いている部分と付いていない部分で色の差が出ることがあります。取り外しできる装置か、歯の表面に付ける装置かで扱いが変わるためです。詳しくは矯正中にホワイトニングはできる?で解説しています。担当の歯科医師に確認してください。
まとめ
ホワイトニングのデメリットは、体に起きること・続けることの負担・お金の負担・できることの限界という4つの領域に分かれます。同じ一覧に並んでいても性質は違い、しみる感覚のように多くが一過性のものと、色が戻ることのように付き合い続けるものが混ざっています。
そして、どの領域が重くなるかは選ぶ方法によって変わります。医院で行えば通院の負担が、自宅で行えば継続の負担が乗り、併用すれば両方が乗ります。どの方法にも負担はあり、置き場所が違うだけです。
体に起きることと、目標のずれによる落胆は、始める前の準備である程度軽くできます。自分の場合にどの負担が重くなりそうかを確認したうえで、受け入れられる形を選んでみてください。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

