自宅で行うホワイトニングは、通院の負担が軽く費用も抑えやすい方法です。ただ、悪い面を確かめようとすると「手間がかかる」「自己管理が必要」といった言葉が並びます。それが自分にとって重いのかどうかまでは、そこからは読み取れません。
自宅で行う方法のデメリットは、ばらばらの項目として存在しているわけではありません。医院が担っていた4つのことが、そのまま自分に移ることから生まれています。出どころが同じなら、判断のしかたも1つで済みます。
移譲される4つが何かを示したうえで、それぞれを引き受けられるかを開始前に確かめる方法をまとめます。
デメリットは「医院がやっていたことを自分が引き受ける」ことから生まれる
医院で行う方法では、施術に必要なことをほぼすべて医院側が担っています。自宅で行う方法は、その一部が自分の側に移る仕組みです。移るのは次の4つです。
| 担う内容 | 医院で行う方法 | 自宅で行う方法 |
|---|---|---|
| ①薬剤を歯に当てる作業 | 術者が行う | 自分で行う |
| ②その時間を確保する | 予約枠として確保される | 生活のなかから自分で作る |
| ③薬剤と器具を管理する | 医院が保管する | 自宅で自分が管理する |
| ④経過を判断する | その場に歯科医師がいる | 自分で判断する場面がある |
自宅で行う方法のデメリットとしてよく挙げられる項目は、この4つのどれかに落ちます。「手間がかかる」は①と③のこと、「自己管理が必要」は②のこと、「不安が残る」は④のことです。
項目を数えても、自分にとって重いかどうかは分かりません。この4つを自分が引き受けられるかで見るほうが、判断しやすくなります。
なお、しみる感覚や色の後戻りといった話は、方法を問わず起きるものです。ホワイトニング全体のデメリットはホワイトニングのデメリットを4つの領域に整理にまとめています。ここでは自宅で行う方法に固有の部分を見ていきます。
①薬剤を歯に当てる作業が自分に移る
医院で行う方法では、薬剤を扱うのは術者です。歯ぐきを保護し、必要な量を必要な場所に置き、時間が来たら除去する。この一連を自分が行うことはありません。
自宅で行う方法では、この作業が毎回自分の手に移ります。工程としては、装着前に歯をみがき、マウスピースにジェルを入れ、装着し、指定の時間が経ったら外して洗う、という流れです。
1回あたりの時間は長くありません。慣れれば手も早くなります。ただ、慣れても回数が減るわけではないという点が、医院で行う方法との違いです。医院なら3〜5回の通院で完結する工程が、自宅では日数の分だけ繰り返されます。
そして、後で見る装着時間を考えるときは、この前後の作業も足して計算します。装着前のみがきと準備、外したあとの洗浄と片づけを合わせると、装着時間そのものに10分から15分ほどが上乗せされる形です。数字としては小さいものの、毎日のことなので枠の取り方には効いてきます。
もう1つ、結果への影響のしかたも違います。ジェルの量が少なければ薬剤が届かない場所ができますし、多すぎればマウスピースからあふれて歯ぐきに触れます。医院で行う方法では、この部分の出来不出来が結果に乗ることはありません。
ここで注意しておきたいのは、うまくいかないと感じたときに、自分の判断で量を増やしたり時間を延ばしたりしないことです。薬剤の濃度と装着時間は組み合わせで設計されており、片方だけを動かすと、しみる感覚が強く出る方向にはたらきます。
工程ごとの意味とつまずきやすい場所はホームホワイトニングのやり方で扱っています。
②その時間を自分で確保する ― 「1日2時間」を生活のどこに置くか
国内で扱われる薬剤は過酸化尿素10%程度のものが中心で、装着時間は1日2時間程度が目安とされます。濃度が高い薬剤が処方される場合は30分から1時間程度と、時間のほうが短く設計されます。
ここで先に断っておくと、どの時間で使うかは処方によって指示が変わります。以下は10%程度の薬剤を前提にした話なので、実際の計画は自分に出された指示を基準に組み立ててください。処方を見ないと決められない項目は他にもあるので、まとめて確かめておくと迷う場面が減ります。その一覧は処方ごとに変わる項目で切り分けました。
問題は、この2時間が何もしなくてよい2時間ではないことです。装着中は飲食ができません(水は差し支えないとされます)。会話もしにくい状態です。つまり必要なのは、飲食を挟まない2時間です。
置き場所を先に決めておく
多くの場合、帰宅後から就寝までのあいだに寄せる形が現実的です。ただ、この時間帯には生活の習慣が集まっています。
- 夕食後に間食をする習慣があると、その時間とぶつかります
- 晩酌をする日があれば、その日は装着の枠が取れません
- 帰宅時間が読めない働き方だと、確保できる日とできない日が出ます
- 休日にまとめようとしても、日数を重ねる方法なので計画は進みません
判定のしかたは単純です。直近1週間の自分の夜を思い浮かべて、飲食を挟まない2時間が毎日あるかを見る。これが取れそうにないなら、②の移譲は自分にとって重い項目だと判断できます。
期間の長さは、そのまま行動の回数になる
自宅で行う方法は、変化を感じるまで2週間程度、目標とする明るさに届くまで数週間から数ヶ月が目安です。医院で行う方法は3〜5回を1〜2週間の間隔で行い、期間としては数週間から1ヶ月半程度です。
日数だけを並べると自宅のほうが長くなりやすいのですが、差として効いてくるのは日数ではありません。その期間に自分が毎日行動するかどうかのほうです。医院で行う方法の期間の大半は次の予約までの待ち時間で、そのあいだに自分ですることはありません。自宅で行う方法は、期間の長さがそのまま行動の回数に変わります。
「時間がかかる」という言葉が指しているのは、経過日数ではなく、この行動の総量のほうだと考えると整理できます。
枠を取れない日が出たときに何が起きるか
毎日きれいに続く前提で計画を立てると、崩れたときに立て直せません。抜けが出たときに何が起きるかを、先に知っておくほうが実際的です。
1日や2日の抜けで、それまでの分がなくなることはありません。薬剤の作用は使った回数の分だけ積み上がるもので、数日休んだくらいで差し引かれる性質のものではないためです(長く空けば、そのあいだに色が戻る分は進みます)。
ただ、抜けが続くと影響は2つの形で出ます。ひとつは、目標に届くまでの期間がその分だけ後ろにずれること。もうひとつは、薬剤に使用期限があるため、長い中断は残った分を使いきれなくすることです。休んでいるあいだも期限は進みます。
つまり、②が重い人にとってのリスクは「効果が消える」ことではなく、期間が延びて費用が積み上がることのほうです。この見方をしておくと、抜けが増えてきたときに「もう間に合わないから」と投げ出さずに、時間帯を組み直すという判断に向かえます。
なお、外したあとも2〜3時間は色の濃い飲食物を控える時間帯があります。この点も含めた考え方はホワイトニング後の食事に、開始から白さが安定するまでの流れはホームホワイトニングとはにまとめています。
③薬剤と器具を自宅で管理する ― 医院にはない項目
ここは、医院で行う方法には項目そのものが存在しない部分です。自宅で行う方法に固有の負担と言えます。
薬剤には保管の条件と使用期限があります。製剤によっては冷蔵での保管を指示されることがあり、指示された条件から外れると品質が変わる可能性があります。
マウスピースのほうは熱に弱く、熱湯での洗浄や高温になる場所での保管によって変形しうるものです。変形したマウスピースは歯に合わず、薬剤が均一に行き渡りません。
そして、変形・破損・紛失があった場合は作り直しになります。ここで失われるのは費用だけではありません。型取りから受け取りまで数日から1週間ほどかかるため、その期間は進行が止まります。
もう1つ、家庭に薬剤を置くことになるという点があります。小さな子どもや高齢の家族がいる場合、他の人が触れない場所を確保しておく必要があります。
これらは「気をつける」で済ませられる種類のものではありません。保管場所を用意しておくという、開始前に片づけられる実務として扱うほうが確実です。ジェルの扱いと保管の考え方はホームホワイトニングのジェルとはで詳しく扱っています。
④経過の判断が自分に移る
医院で行う方法では、施術中にしみる感覚が出たとしても、その場に歯科医師がいます。中断するか続けるか、薬剤を変えるか、といった判断はその場で行われます。
自宅で行う方法では、症状が出た時点で判断するのは自分です。ここが不安として残りやすい部分です。
しみる感覚は施術当日から翌日に出やすく、24〜48時間程度でおさまることが多いとされます。ただ、目の前の症状が様子を見てよいものなのか、いったん止めて相談すべきものなのかを自己判断で線引きするのは簡単ではありません。
このとき、自分の判断で量を増やす、時間を延ばす、痛みを我慢して続けるといった対応をとると、症状は強く出る方向に向かいます。判断に迷う状態で条件を動かさないことが基本です。
とはいえ、④の移譲は開始前の準備でかなり軽くできます。
- 連絡できる手段(電話、オンラインでの相談窓口など)を確認しておく
- どういう状態になったら連絡するのかを、開始前に聞いておく
- 使用を中断してよい場合の条件を確認しておく
これらが決まっていれば、症状が出たときに「自分で判断する」場面そのものが減ります。しみる仕組みと段階ごとの対処はホワイトニングの知覚過敏にまとめています。
費用の負担 ― 続く期間の分だけかかる
自宅で行う方法の費用は、一般的な目安として2万円から5万円程度です。マウスピースの作製と初回分の薬剤を含む形で提示されることが多くなっています。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。本記事で示す金額はいずれも一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
費用の面でおさえておきたいのは、この金額が終わりの金額とは限らないことです。目標とする明るさに届くまでの期間が長引けば、薬剤を追加する分が乗ります。期間が読みにくい方法である以上、総額も幅を持ちます。
そして、途中でやめた場合、そこまでにかかった分は戻りません。続けられるかどうかを先に判断する意味は、ここにあります。②で見た時間の確保が難しいと分かっているなら、開始前に方法を選び直すほうが、結果としての負担は小さく収まります。
色は時間とともに戻るため、維持まで考えるならさらに先も見込んでおきます。自宅で行う方法の持続は半年から1年程度が目安で、その後の間隔の考え方はホワイトニングの頻度で扱っています。費用の全体像はホワイトニングの値段にまとめました。
自分の場合の総額は、目標と現在の状態を見てもらうと具体的な数字で確認できます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
引き受けられるかを開始前に確かめる
ここまでの4つは、いずれも開始前に確認できるものです。デメリットの数を数えるかわりに、次の4点を自分に当ててみてください。
| 移譲される内容 | 開始前に確かめること |
|---|---|
| ①薬剤を歯に当てる作業 | 装着前後の作業を含めて、手順を最後まで説明できる状態か |
| ②時間の確保 | 飲食を挟まない2時間と前後の作業を、毎日どこに置くか決まっているか |
| ③薬剤と器具の管理 | 保管条件を満たす場所と、他の人が触れない場所を用意できるか |
| ④経過の判断 | 連絡手段と、連絡する目安を聞いてあるか |
4つとも問題なく引き受けられそうなら、自宅で行う方法は費用と通院の面で利点の大きい選択です。
引き受けにくい項目があった場合も、そこで話が終わるわけではありません。それは自宅で行う方法が向いていないという意味ではなく、負担の置き場所を移す余地があるという意味です。たとえば②が難しいなら、医院で行う施術を組み合わせて自宅の日数を減らす形があります。組み合わせる方法の考え方はデュアルホワイトニングとはで扱っています。
自宅で行う方法と医院で行う方法は、良し悪しの差ではなく、負担がどこに置かれるかの違いです。自分にとってどちらの負担が軽いかで選ぶと、途中で止まりにくい進め方になります。方法の選び方はホワイトニングのおすすめにまとめました。
4つのうち引っかかる項目があるなら、その点を伝えたうえで進め方を組み立てられます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
ホームホワイトニングのデメリットに関するよくある質問
装着を1日忘れたらやり直しになりますか
1日の抜けでそれまでの分がなくなることはありません。ただ、抜けが続くと目標に届くまでの期間が延び、その分だけ薬剤の追加が必要になることがあります。抜けが増えてきたと感じる時点で、装着の時間帯そのものを見直すほうが立て直しやすくなります。
白さに限界があると聞きましたが、これもデメリットですか
到達できる明るさに上限があるのは事実ですが、これは自宅で行う方法に限った話ではありません。もともとの歯の色や質によって決まる部分で、医院で行う方法でも同じように上限があります。どこまで届くかの決まり方はホームホワイトニングの効果で扱っています。
装着時間を長くすれば早く終わりますか
早く終わるとは限らず、しみる感覚が強く出る可能性が高くなります。薬剤の濃度と装着時間は組み合わせで設計されているため、時間だけを延ばすと設計から外れます。進みが遅いと感じる場合は、時間を延ばすのではなく、処方の内容を含めて相談するのが順序です。
途中で医院で行う方法に切り替えられますか
状況によりますが、切り替えや組み合わせは選択肢としてあります。作製したマウスピースは残るため、いったん医院での施術で明るさを進めてから自宅での使用に戻す、という組み方もできます。切り替えを考える段階では、それまでの経過を伝えたうえで判断してもらうほうが無駄が出ません。
まとめ
自宅で行うホワイトニングのデメリットは、医院が担っていた4つが自分に移ることから生まれています。薬剤を歯に当てる作業、時間の確保、薬剤と器具の管理、そして経過の判断です。よく並べられる「手間がかかる」「自己管理が必要」は、この移譲を言い換えたものです。
判断に使えるのは項目の数ではなく、4つを自分が引き受けられるかどうかです。とくに、飲食を挟まない2時間を毎日どこに置くかと、薬剤の保管場所を用意できるかは、開始前に答えの出るものです。
引き受けにくい項目があるなら、医院での施術を組み合わせて負担の置き場所を移す形があります。良し悪しの差ではなく置き場所の違いだと考えると、自分に合う進め方が決めやすくなります。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



