歯の色が気になっていても、高校生のうちに受けられるのかどうかは、はっきりしないまま止まりがちです。よく言われるのは「だいたい18歳頃から」という目安ですが、「永久歯が生えそろっていれば受けられる」という説明もあります。同じ問いなのに、答えの位置が違います。
分かれるのには理由があります。年齢の話に見えて、実際には3つの別々の条件が同時にかかっているからです。そして、どの条件で止まっているかによって、次にすることが変わります。
3つを分けたうえで、いますぐ始められない場合に何ができるかまで見ていきます。
「高校生でも受けられるか」の答えが分かれる理由
ホワイトニングを始められるかどうかは、次の3つがそろって決まります。
| 条件 | 何によって決まるか | 満たさないと | |
|---|---|---|---|
| ① | 歯の側の条件 | 歯の成熟度、むし歯や歯ぐきの状態 | 始められない |
| ② | サービス側の条件 | 提供する側が設定している対象年齢 | そのサービスでは始められない |
| ③ | 契約の条件 | 成年か未成年か | 保護者の同意が要る |
このうち、年齢で決まるのは②と③だけです。①は年齢では決まりません。同じ17歳でも、歯が生えてからの年数や口の中の状態は人によって違うためです。
3つは止まり方も違います。①と②は、満たしていなければそこで止まります。③は可否ではなく、契約に誰が同意するかを決める条件です。未成年でも、保護者の同意があれば進みます。
だから、止まっている場所が違えば、次にすることも違います。②で止まっているなら受け方と対象年齢を確認する話になり、①で止まっているなら治療や経過を見る話になります。
「だいたい18歳頃から」という説明は、この3つの答えがたまたま近い年齢に集まる部分を、1本の線にまとめたものです。分かりやすくなる代わりに、自分がどこで止まっているのかは見えなくなります。
順に見ていきます。
条件① 生えたあとも、歯は変わり続ける
年齢の話では「歯が未成熟だから」という理由がよく挙がります。この「未成熟」が何を指すのかを、先に整理しておきます。
歯は、生えた時点で完成しているわけではありません。生えたあとも、唾液に触れながらエナメル質の石灰化が進んでいきます。萌出後成熟と呼ばれる現象です。
この過程を調べた研究があります。西野瑞穂ほか「ヒト幼若エナメル質の萌出後成熟に関する研究」(小児歯科学雑誌 20巻1号 15-20頁、1982年)です。矯正科を受診した6名から得た、むし歯のない第一小臼歯11本を、11歳群・13歳群・18歳群に分けて観察しています。
報告されているのは、まず最表層の石灰化が進み、その影響で内部の未成熟な部分の石灰化が進んでいくという順序です。11歳群では未成熟な層が確認され、13歳群ではその深さが減り、18歳群では全層の石灰化が完了していたとされています。
ただし、この研究をそのまま年齢の線引きに使うことはできません。調べたのは前歯ではなく第一小臼歯で、本数は11本、1982年の報告です。ホワイトニングの効果や安全性を調べたものでもありません。比べたのは11歳・13歳・18歳の3つの群だけです。つまり、何歳で完了するのかを特定した研究ではありません。
ここから言えるのは、生えたあとも歯は変わり続けるという現象までです。
なお、薬剤がしみるかどうかは、エナメル質や象牙質の状態によって変わります。ホワイトニングの知覚過敏では、その仕組みと3段階の対処を扱っています。
そして、生える時期には個人差があります。同じ学年でも、前歯が生えてからの年数は人それぞれです。だからこの条件は、年齢だけで一律に線が引かれるものではなく、歯の成熟度によって適応が変わるという扱いになります。ここは口の中を見てもらわないと決まりません。
条件①にはもうひとつ、むし歯や歯ぐきの状態が入ります。こちらは②と③を見たあとに、まとめて確認します。
条件② 対象年齢は、提供する側が決めている
意外に思われるかもしれませんが、ホワイトニングの対象年齢は法律で決まっているものではありません。提供する側がそれぞれ設定しています。医院によって答えが変わるのは、そのためです。
さらに、同じ提供者でも受け方によって設定が違うことがあります。
マウスピース矯正 Oh my teethのホワイトニングは、歯科医師の診断のうえで提供されています。その対象は、医院で受ける方法(オフィスホワイトニング)が16歳以上、自宅で行う方法(ホームホワイトニング)が18歳以上です。提供者が同じでも、受け方が変われば対象年齢の設定も変わります。
設定が分かれる理由は公表されていません。ただし自宅で行う方法には、医院なら担当者が行う部分を本人が担う工程があります。その内訳はホームホワイトニングのデメリットで整理しました。
つまり、「A院では受けられて、B院では断られた」ということが起こります。そのあいだに歯の状態が変わったわけではありません。条件②の設定が違っただけです。
対象年齢は提供する側が設定しているので、申し込み先に直接確認するのが確実です。確認するのは2つ。受けようとしているのが医院で受ける方法か自宅で行う方法か、そしてその方法の対象年齢が何歳からか、です。
東京表参道矯正歯科で提供しているのは、マウスピースを使って自宅で行う方法にあたります。医院で受ける方法(オフィスホワイトニング)は扱っていません。
条件③ 成年年齢は2022年に18歳へ下がっている
3つ目は契約の条件です。ここは年齢で一律に決まります。
民法の成年年齢は、20歳から18歳に引き下げられました。令和4年(2022年)4月1日からの施行です(法務省「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について」)。18歳の誕生日を迎えた時点で成年になります。
この変更は、高校生にとって小さな話ではありません。高校3年生の多くは、在学中に成年に達します。「高校生だから未成年」という前提は、いまは成り立たない場合があります。
ただし、ここは混ざりやすい部分です。条件②と条件③は、同じ18歳でも意味が違います。
| 満たすと何が変わるか | |
|---|---|
| 条件②を満たす | そのサービスの対象に入る |
| 条件③を満たす | 契約に同意する主体が自分になる |
片方を満たしても、もう片方が自動的に満たされるわけではありません。18歳になって自分で同意できるようになっても、選んだ受け方の対象年齢がそれより上に設定されていれば、そちらは受けられません。反対に、16歳から対象になる受け方があったとしても、契約には保護者の同意が必要です。
未成年の場合、同意書で足りるのか、同伴が求められるのかは、医院によって運用が異なります。出向く前に確認しておくと、二度手間になりません。
そして、費用を負担するのが保護者であれば、同意が要るかどうかとは別に、先に相談する段階があります。その材料を次に置きます。
費用と保険の扱い
ホワイトニングに保険は使えません。保険が使えるかどうかは処置の名前ではなく目的で分かれ、見た目を整えることが目的の処置は対象外になるためです。この境界線はホワイトニングに保険は使える?にまとめました。
一般的な費用の目安は、医院で行う方法が1回2万円から5万円程度、自宅で行う方法が2万円から5万円程度です。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。本記事で示す金額はいずれも一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
見落とされやすいのは、1回で終わるものではないという点です。医院で行う方法は複数回に分けて進めるのが通常で、自宅で行う方法は毎日続けて数週間から数ヶ月かかります。総額は「1回あたりの金額 × 必要な回数」で見ないと、実際の負担とずれます。費用のそろえ方はホワイトニングの値段で扱いました。
高校生の場合、負担するのは保護者になることが多いはずです。続ける期間と総額を先に決めてから相談するほうが、話は進みます。金額の見えないものとして持ちかけると、保護者の側にも判断の材料がないためです。
いつから対象になるのか、それまでに何を済ませておくとよいのか、費用と期間はどれくらいか。この3点は、いまの歯の状態と合わせて保護者の方と一緒に相談できます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
条件②③を満たしても、条件①で止まることがある
年齢で決まる条件(②と③)を満たしても、条件①は別に確認が必要です。条件①には、歯の成熟度だけでなく口の中の状態も含まれます。
未治療のむし歯や歯ぐきの炎症があれば、治療が先になります。薬剤がしみやすくなるほか、進めている途中で治療が必要になると、そこで中断することになるためです。治療との順番は虫歯があるとホワイトニングはできない?が詳しいので、そちらで確認してください。
矯正をしている場合は、進め方が変わります。装置の種類によって、できる時期とできない時期があります。この点は矯正中にホワイトニングはできる?で扱っています。
詰め物や被せ物は、薬剤では色が変わりません。前歯に白い詰め物が入っている場合、周囲の歯だけが明るくなって差が出ることがあります。ホワイトニングのデメリットには、人工物との関係を含めた4領域の整理があります。
もともと冷たいものが響きやすい場合は、始める前に伝えておきます。進め方や薬剤の量で調整できる余地があるためです。
いずれも年齢とは別の話です。18歳になれば自動的に解消する、という性質のものではありません。年齢以外の理由も含めた可否については、別の切り口の整理があります。噂・対処できること・受けられない条件の3つに分ける見方で、ホワイトニングはしない方がいい?にまとめています。
白くする前に減らせる黄ばみと、手を出さないほうがよいもの
いま始められない場合に、手元に残る選択肢と、避けておく選択肢を分けます。
黄ばみには、落とせるものと落とせないものがあります。表面についた着色は清掃で落とせる部分ですが、歯そのものの色は落とす対象ではなく、薬剤で明るくする対象です。歯の黄ばみを取る方法の見分け方を使うと、この2つは分けられます。
気になっている色に、表面側の着色が混ざっていることがあります。その分は、白くする前に減らせます。
なお、自分で行うタイプのサービスについては、扱える薬剤の範囲が違うという整理になります。届く範囲の違いはセルフホワイトニングの効果で扱いました。
ここからは避けておく側です。まず、落とし方に気をつけてください。落ちない色は、強く磨いても落ちません。そして削れた分は戻りません。市販の研磨剤入りのものを強く当てる習慣は、かえって黄ばんで見える方向に働きます。悪化していく道筋は、上の記事で整理しました。
歯の成熟度は人によって違い、条件①のとおり口の中を見ないと分かりません。強く当てる習慣がついているなら、いま止めておくほうが安全です。
もうひとつ。歯そのものを漂白する薬剤は、歯科医院で歯科医師が歯や歯ぐきの状態を確認したうえで扱うものにあたります。状態を見ないまま使うものではありません。
条件が整うまでの期間にできること
待つ期間は、準備の期間として使えます。やることは2種類あります。始めたあとに何がどう変わったかを確かめやすくするものと、条件が整った時点ですぐ動けるようにするものです。順に4つ挙げます。
着色を増やさない。 色の濃い飲み物のあとに口をゆすぐ、といった小さな習慣で、乗っていく着色の量は変わります。積み上がる前に手を打つほうが、あとで落とす手間は減ります。着色が付く仕組みは施術後も始める前も同じなので、ホワイトニング後の食事の避ける理由の分け方がそのまま使えます。
記録を残す。 同じ場所、同じ明るさ、同じ角度で撮っておきます。毎日鏡を見ていると緩やかな変化には気づけないため、比べられる形にしておくと、あとで実際にどう変わったかを確認できます。ホームホワイトニングで白くならないときの記録の項に、撮り方が書いてあります。
治療を済ませておく。 条件①のとおり、むし歯や歯ぐきの状態は始めるときの条件になります。先に片づけておけば、条件が整った時点で動けます。
費用・期間・同意の3点を保護者と共有しておく。 そろえておくと、始められる時期が来たときに話が早く進みます。
いずれも派手な変化はありません。ただし、前の2つは開始後に「変わったかどうか」を判断しやすくし、後の2つは始められる時期が来たときの待ち時間を減らします。
ここまでの準備が自分の状態に合っているかは、口の中を見てもらえば確かめられます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
高校生のホワイトニングに関するよくある質問
中学生でもホワイトニングは受けられますか
受け方によって対象年齢の設定が違うため、一律には決まりません。加えて、条件①の観点では、中学生の年代は永久歯が生えそろって間もない時期にあたることが多くなります。歯の成熟度は年齢だけでは判断できないため、口の中を見てもらったうえでの判断になります。
18歳になれば、どの医院でも受けられますか
18歳になると条件③(成年)は満たしますが、条件②は提供する側の設定なので、それとは別に確認が必要です。対象年齢の設定は受け方によっても変わります。そして条件①は年齢では決まらないため、むし歯や歯ぐきの状態によっては治療が先になります。
保護者に相談するとき、3点がそろっていない場合はどうすればいいですか
費用と期間から埋めると進めやすくなります。この2つは、対象年齢や口の中の状態が分かる前でも、一般的な目安として調べられるためです。同意の要否は、受ける方法と医院が決まってから確認する項目にあたります。3点がそろっていれば、保護者の側にも判断の基準ができます。見送るという結論も含めて、材料のある話にできます。
市販のホワイトニング歯みがき粉を数ヶ月使っても変わりません
磨き方や期間の問題ではなく、色の種類が違う可能性があります。国内で市販されている歯みがき粉が届くのは表面についた着色までで、歯そのものの色は別の対処になります。どちらなのかの見分け方は歯の黄ばみを取る方法にあります。
まとめ
高校生が受けられるかどうかの答えが分かれるのは、3つの別々の条件が混ざっているためです。歯の側の条件は年齢では決まらず、口の中を見て判断されます。サービス側の対象年齢は提供する側が設定していて、同じ提供者でも受け方によって変わります。契約の条件は2022年に成年年齢が18歳へ下がったことで、高校3年生の多くが在学中に成年に達する形になりました。
自分がどの条件で止まっているかが分かれば、次にすることも決まります。条件②で止まっているなら受け方と対象年齢の確認、条件①なら治療や経過を見ることです。条件③は止まる条件ではなく、契約に誰が同意するかを決めるものなので、未成年であれば保護者との相談が先に入ります。
そして、すぐに始められない場合でも、着色を増やさないことと記録を残すことは、いまからできます。始めたあとに何が変わったかを見るための土台になります。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

