1本だけ暗い歯がある。通常のホワイトニングでは変わらないと分かって、この処置にたどり着いた。そういう段階で費用を確かめようとすると、金額は出てくるものの、自分の場合にいくらになるのかまでは決まりません。
理由は2つあります。回数の幅が大きいことと、料金の建て方が2通りあることです。この2つを知らないまま金額だけを比べると、判断がずれます。
そしてもうひとつ。値段の前に確認しておくことがあります。適応の条件と、指摘されているリスクです。
どういう処置か ― 内側から作用させる
外傷や大きなむし歯によって神経を失った歯は、時間とともに暗くなることがあります。数年かけて少しずつ変わるため、気づいたときには周囲との差がはっきりしている、という経過をたどりやすい部類です。
この変色は、歯の内側から起きています。そのため、外から薬剤をあてる通常のホワイトニングでは届きにくくなります。特定の歯だけ変化しない場合の切り分けはホームホワイトニングで白くならないときにまとめました。
ウォーキングブリーチは、歯の内部に薬剤を入れて、内側から作用させる方法です。薬剤を入れた状態で日常生活を送り、1〜2週間ごとに交換していきます。
通常のホワイトニングが表面から作用するのに対して、こちらは作用する向きが逆になります。薬剤の働き方についてはホワイトニングの仕組みのほうにまとめました。
値段が動くのは「回数」と「料金の建て方」
費用の目安としては、一般的に1本あたり1万円から2万円程度とされます。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。本記事で示す金額はいずれも一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
ただし、この金額がそのまま総額になるとは限りません。理由は2つあります。
回数の幅が大きい
薬剤は1〜2週間ごとに交換し、全体で1ヶ月程度かかることが多いとされます。
問題は回数のほうです。1〜2回で目標に届く場合もあれば、5回以上かかる場合もあります。どれくらいかかるかは変色の程度によるため、開始前に確定させにくい部分です。
つまり、回数に幅がある処置だという前提から入ります。
料金の建て方が2通りある
ここが総額を大きく分けます。
| 料金の建て方 | 回数が伸びたとき |
|---|---|
| 1本あたりの総額を提示する形 | 金額は動きません |
| 1回ごとに課金する形 | 回数分だけ積み上がります |
この2つは比べ方が違います。1回ごとの料金は、1回分の金額だけを見ると小さく見えます。ところが5回かかれば5回分です。一方、1本あたりの提示なら、回数が伸びても金額は変わりません。
数字だけを並べて比べると、この違いが見えなくなります。見積もりを受け取ったら、その金額に何回分が含まれているのかを先に確認します。
費用の全体像はホワイトニングの値段にまとめました。
回数が読めないのは、目標が「周囲の歯の色」だから
回数に幅がある理由を、もう少し具体的に見ておきます。ここが分かると、見積もりが幅を持つ理由も腑に落ちます。
通常のホワイトニングは口全体が対象なので、目標は「どこまで明るくするか」という設定になります。ところが1本だけを扱う処置では、目標の置き方が変わります。周囲の歯に合わせることが目標になるためです。
明るくしすぎると、今度はその1本が明るいほうへ浮きます。差の向きが入れ替わるだけで、目立つことに変わりはありません。つまり、上限を決めるのは周囲の歯の色です。この考え方はインプラントがある人のホワイトニングでも扱いました。
そして、この処置は薬剤を交換するたびに経過を見ていく形をとります。周囲の色に近づいたところで止める、という進め方です。何回で近づくかは、開始時点の差の大きさによって変わります。回数が事前に読めないのは、このためです。
もうひとつ。周囲の歯もホワイトニングする予定があるなら、目標の位置が動きます。周囲が明るくなれば、合わせる先も明るくなるからです。両方を考えている場合は、どちらを先にするかを含めて確認しておきます。
値段の前に確認すること ― 適応と前提
金額を比べる前に、そもそも自分がこの処置の対象かどうかがあります。ここが総額にも効いてきます。
神経を失った歯であること
この処置は、神経のある歯には行いません。歯の内部に薬剤を入れる方法だからです。
1本だけ暗く見えている理由が、神経を失ったことによるものなのか、別の理由によるものなのかで、話は変わります。もともとの歯質による色の濃さや、薬の影響による変色は、また別の考え方で見ます。切り分けについてはホームホワイトニングで白くならないときで扱いました。
根管の状態
歯の内部に薬剤を入れる処置であるため、根管の処置が適切に行われている必要があります。
ここが、費用の見込みに関わる部分です。状態によっては、この処置に入る前に根管の処置が必要になる場合があります。その場合、その分の費用が先に乗ります。
つまり、「ウォーキングブリーチの費用」だけを見ていると、総額が見えません。先に必要な処置があるかどうかを確認したうえで、合計で考えます。根管の処置そのものについては、担当する医院で確認する内容です。
人工物が入っていないか
その歯に被せ物や差し歯が入っている場合、薬剤では色が変わりません。素材そのものの色だからです。この場合は別の考え方に移ります。人工物と周囲の色の関係はインプラントがある人のホワイトニングで扱いました。
指摘されているリスク
費用を検討する記事ですが、ここは飛ばせません。この処置には、指摘されているリスクがあります。
ひとつは、歯の内部吸収(歯根吸収)が起こる場合があるとされていることです。歯の内側から組織が失われていく変化で、進行すると歯の強度に関わります。
そして、内部吸収を起こした歯は割れるリスクが高まるとされています。歯根の破折です。
もともと神経を失った歯は、神経のある歯と比べて強度の面で条件が違います。そこに内部からの変化が加わる、という関係にあたります。
どの程度の頻度で起こるのか、どういう条件で起こりやすいのかについては、担当する医院で確認する内容です。処置を検討する段階で、この点を説明してもらったうえで決めます。
費用だけを見て決める種類の処置ではない、というのがここでの結論になります。ホワイトニング全般のデメリットの整理はホワイトニングのデメリットにまとめています。
また、処置のあとも経過を見る通院が必要です。その分も計画に入れておきます。
効果が出なかった場合
変色の程度や原因によっては、目標とする明るさまで届かない場合があります。
その場合、被せ物という選択肢に移ります。ここで押さえておきたいのは、費用の桁が変わるという点です。素材や状態によって幅があるため、金額の目安をここで示すことはできません。担当する医院で確認する内容です。
大事なのは、最初の相談の段階でこの可能性も含めて確認しておくことです。届かなかったときに初めて次の話が出てくると、想定していた総額から大きく離れます。
なお、判断の時期にも注意が要ります。施術の直後の色で結論を出さないようにします。落ち着いてから見る、という考え方は通常のホワイトニングと同じです。この点はホワイトニングの失敗と呼ばれるものにまとめました。
色が時間とともに戻ることもあります。再度行う場合の費用についても、あらかじめ確認しておくと計画が立てやすくなります。維持の考え方はホワイトニングの頻度で扱いました。
通常のホワイトニングとの費用の比べ方
金額の桁が違うため、通常のホワイトニングと並べて「安い」「高い」と比べたくなります。ただ、この2つは対象範囲が違います。
| 対象 | 費用の目安 | |
|---|---|---|
| 通常のホワイトニング | 口全体(見える範囲の歯) | 医院で行う方法は1回2万円〜5万円程度/自宅で行う方法は2万円〜5万円程度 |
| ウォーキングブリーチ | 変色した1本 | 1本あたり1万円〜2万円程度 |
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。本記事で示す金額はいずれも一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
1本だけ暗い状態を整えたいのか、全体を明るくしたいのか。この2つは、そもそも別の話です。金額の大小ではなく、目的のほうで分かれるものです。
両方を考えている場合は、順番の確認が要ります。全体を明るくしたあとに1本の差が残るのか、先に1本を整えるのか。ここは状態によって変わるため、まとめて相談するほうが早く決まります。医院で行う方法の費用の内訳はオフィスホワイトニングの費用にまとめています。
自分の場合にどちらが必要なのかは、状態を見てもらうと整理できます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
見積もりで確認する5項目
金額を受け取ったときに、そのまま比べるのではなく、次の5点を確認します。
- 提示額に何回分が含まれるか。 ここを確認しないと、1本あたりの提示と1回あたりの提示を混同します
- 回数が増えた場合の追加費用。 1本あたりの提示なら動かない、1回ごとなら積み上がります
- 先に必要な処置があるか、その費用。 根管の状態によって変わります
- 届かなかった場合の次の選択肢と、その費用の桁。 被せ物になる場合、金額の規模が変わります
- 経過を見る通院の費用。 処置のあとも確認が必要です
このうち、1と2を確認しないまま金額だけを比べるのが、もっとも起きやすいずれ方です。1回あたりの数字が小さいほうを選んだつもりが、回数分で上回るということが起こります。
状態と目的を伝えると、必要な処置と総額の見込みが整理できます。オフィスホワイトニングの詳細はこちら
ウォーキングブリーチの値段に関するよくある質問
保険は使えますか
見た目を整えることを目的とする処置は、保険の対象外になります。この処置も自由診療です。保険が使えるかどうかの分かれ目は、処置の名前ではなく目的にあります。この考え方はホワイトニングに保険は使える?にまとめました。
1回の料金が安い医院を選べばよいですか
1回あたりの金額だけでは総額は決まりません。回数に幅がある処置なので、何回分が含まれているか、増えた場合にどうなるかを確認したうえで比べることになります。料金の建て方が違うもの同士を、1回あたりの数字だけで並べると判断がずれます。
神経のある歯にもできますか
行いません。歯の内部に薬剤を入れる方法なので、神経のある歯は対象外です。神経のある歯の変色については、通常のホワイトニングで届く範囲かどうかを確認するところが出発点です。
色が戻ったらまた同じ費用がかかりますか
再度行う場合の費用の扱いは、医院によって異なります。最初の相談の段階で、色が戻った場合にどうするか、そのときの費用がどうなるかを確認しておくと、計画に組み込めます。
まとめ
ウォーキングブリーチの値段は、1本あたりの金額だけでは決まりません。回数に幅がある処置であることと、料金の建て方が1本単位と1回単位の2通りあることが理由です。1回あたりの数字だけを見て比べると、回数分で総額が上回ることがあります。
そして、値段の前に確認することがあります。神経を失った歯であること、根管の状態が整っていること、その歯に人工物が入っていないこと。とくに根管の状態によっては先に処置が必要になり、その分の費用が先に乗ります。
この処置には、歯の内部吸収や歯根の破折といったリスクが指摘されています。どの程度の頻度で起こるのか、自分の状態ではどうなのかは、担当する医院で確認する内容です。費用だけを見て決める種類の処置ではありません。
見積もりでは、含まれる回数、増えた場合の扱い、先に必要な処置、届かなかった場合の選択肢、経過を見る通院。この5点を確認しておくと、総額の見込みが立ちます。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

